マッサージ店が倒産、前払い分が宙ぶらりん

2014年10月22日更新

もぬけの殻となったマッサージチェーン店「康駿」

　「康駿倒産！」。山東省の青島や済南を車で回っていた国慶節期間中、私にとってはショッキングなニュースが流れてきました。「康駿」とは、上海地区最大手のマッサージチェーン店。2004年に上海で第1号店をオープンさせてから、見る見るうちに拠点網を拡大し、14年には北京、南京、成都、鄭州含め100店舗までになっていました。

　上海には至るところに大小含めたマッサージ店がありますが、特にこの康駿の店舗の多くは繁華街の好立地で、高級感溢れる内装とサービスで人気を博していました。マッサージ師も勤続年数と経験により三ツ星と五つ星とに分かれており、若干値段の違いこそあれ、しっかりとしたツボや経脈の知識と技術を持つマッサージ師を選ぶことも可能でした。

　私はいつも、マッサージの腕に安心感がある五つ星の人を選んでいました。値段は1時間188元で相場より5～6割増し。ただ、中国ではマッサージやエステ店などでよく見かけるプリペイドの会員カードを購入すれば、購入額に応じて割引が適用されるので、それほど懐は痛みません。しかし、これが落とし穴でした。

　私が購入したのは3000元のカードで、プラス1000元分のサービスがついてくるというもの。一度の出費としては結構な大金ですが、実質3割強の割引になるとの思いで購入しました。もちろん、「仮に康駿が倒産したらどうしよう」という不安もありましたが、2004年からの老舗で、個人ではなく法人として手広くチェーン展開しているので大丈夫だろうという安心感があったのも事実です。

　その3000元カードもほぼ順調に消費が終わろうとした今年春ごろ、店員から薦められたのは「3000元購入でプラス3000元贈呈」というキャンペーン。「今月末までよ」との口車に乗せられ、ついつい購入してしまいました。そのキャンペーン、なぜかお店が閉まる9月末まで継続されていたのですが、今思えば資金繰りで苦しんでいたためかと納得がいきます。

　私のように会員カードを購入した人は上海地区だけで1万人を超え、その合計額は1億元に達しているのではとも言われています。数千名にも及ぶ店員やマッサージ師の給与も3カ月間滞納していたそうで、このまま泣き寝入りするしかないのか。ある店舗の貼り紙には、現在新たな投資家（スポンサー）を探しており、10月15日には再度オープンしますと書かれていましたが、お店はまだ閉まったまま。改めて中国での生活や消費面でのリスクを体感したほろ苦い経験となりました。

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