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【第2回】 資本からブランディングへ、中国企業の課題

ブランドと企業イメージは表裏一体、大連「スウィッシュ」ホテル

2011年12月27日更新

 ブランドと企業イメージは表裏一体、大連「スウィッシュ」ホテル
大連スイスホテルが「swish-hotel」に?

 先日、大連でのセミナーに参加するために半年ぶりに大連に行ってきました。大連は祖母が戦前に3年間住んでいたこともあり、幼少時より祖母から大連の思い出話を聞きながら育った私にとっては縁の深い町です。実際にこれまでもかれこれ10回以上出張含め大連に行っているのですが、親日的な雰囲気や町中に散らばる多くの日本料理店、そしてなにより新鮮な魚介類が豊富なところなど、日本人にとっては本当に住みやすい町です。
 今回の宿泊先は大連でも有名なスイスホテル。同ホテルは大連繁華街のど真ん中にあり労働公園を見下ろす絶好のロケーションで、今は中国資本になったマイカル百貨店が入っているビルの上階にあります。スイスホテルは日本では大阪なんば、上海にも静安寺にあり、これまでも何度かロビーなどには足を運んだことがあり、「Swissôtel」という特徴的なロゴもどこかなじみがありました。
 そこでいざ大連のスイスホテルに到着すると、確かにあの特徴的なロゴに似ているのですが、よく見ると「Swissôtel」ではなく「swish-hotel」となっていました。確かに中国最大のオンライン旅行予約サイトのCtrip(携程)で予約する際に中国語表記が「瑞士酒店」ではなく「瑞詩酒店」になっていたので「あれ?」と思ったのですが、ホテル名もロゴも若干変わっていたのでした。(ちなみに「swish」の語源ですが、スイスの英語表記は「Switzerland」で形容詞は「Swiss」なので、何らかの造語なのでしょうか?)
 このスイスホテル、地元の大手コングロマリット企業の大商集団が1998年にスイスホテルとの「Swissôtel」の登録商標と中国語名「瑞士酒店」の商号借用のライセンス契約に基づきオープンしました。2004年に契約期間が満了した後も引き続きこれら登録商標と商号を使用し続けていましたが2009年にスイスホテルから告訴された結果、英語名を「swish-hotel」、中国名を「瑞詩酒店」に変更したという経緯があります。
 ロゴや商号が変わった大連スイスホテルですが、もちろん設備も接客サービスも従業員もそのまま引き継ぎ、以前と変わらぬ品質のサービスとホスピタリティを提供していると思います。しかし、あのなじみのロゴが「swish-hotel」に変わっているだけなのですが、なぜか以前のような高級感や優越感を感じなくなったのは事実で、やはりブランドやロゴと企業イメージというのは常に表裏一体で、時間をかけて育てていく必要があるのだとつくづく感じました。またどうして大商集団は「Swissôtel」のロゴやブランド使用のライセンスフィーを継続して支払わない選択をしたのか、残念で仕方ありません。
 そこでふっと思ったのが、中国国内の高級ホテルブランドには何があるかなあと。ヒルトン、ハイアット、シャングリラなど欧米系の大手ブランドや日系のニッコーホテルなど非中国系がメインで、地場系のブランドは「錦江」くらいでしょうか。そういう意味においては、今回の大連「スウィッシュホテル」もそうですが、中国もこれからホテル経営のノウハウを蓄えながら独自のブランディングをしていく時代が到来してきているといえるでしょう。
 今回は部屋数によるグローバルトップ300ホテルのうち中国系ホテルのランキング(出所:雑誌『Hotels』)と世界大手旅行サイトTripAdvisorによる口コミで決定した上海人気ホテルのランキングが見つかりました。下記、ご参考までに。


グローバルトップ300ホテル 中国系ホテルランキング
【表1】 グローバルトップ300ホテル 中国系ホテルランキング

上海人気ホテルランキング
【表2】 上海人気ホテルランキング


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