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宅配ロッカー大手「豊巣」 |
新型コロナウイルスが変えた中国消費。今号は「無接触」配送により、突如としてスポットライトを浴びた「宅配ロッカー(ボックス)」について。
新型コロナの感染拡大に伴い、まず最初に「無接触」をアピールしたのはネット出前でした。美団外売は1月26日に、武漢で「無接触配送」サービスをスタート。注文時にアプリの「備考欄」や電話などで、配達場所を指定できるようにしました。
その後、天猫超市、盒馬、餓了么、KFC(ケンタッキーフライドチキン)、ピザハットなども追随。餓了么は、配送食品を密封包装し、調理から包装、配達まで各担当者の氏名と体温がトラッキングできるようにしました。
一方、マンション(小区)ごとに「封閉式」管理が徹底されたことから、お届け物は敷地内の決められた一画に集められるようになったことは前号でお伝えしました。そうした中、宅配物の取り違いや紛失、衛生面などで各種リスクが不安視される中、注目され始めたのが「宅配ロッカー」です。
新型コロナ以前から、宅配ロッカーは小区やオフィスなど多くの場所で設置されていましたが、実際に利用している様子を目にするのはほぼ皆無でした。それが「無接触」という掛け声のもと、スマホ経由で開閉するスマートロッカーのメーカーに、オフィスビルやマンションから問い合わせが殺到しているようです。
例えば、スマートロッカーによる配送サービスを8年前から提供している「食行生鮮」。すでに上海、蘇州、無錫の3都市に3,600ヶ所以上のスマートロッカーを設置済みで、常温、冷藏、冷凍での配送網を整備。今回の新型コロナまん延で、受注件数が前年比3倍増になったとのこと。
中国で大人気の茶飲料チェーン店「喜茶(HEYTEA)」も、無接触による飲料受け渡しにロッカーを活用。ネット出前の美団外売も、ロッカーを今後の重要な戦略ツールとして捉えているようです。宅配ロッカーに一括で配送できるメリットも大きいでしょう。
2017年頃に登場した食品のスマート受取カウンターは、スペースや設置コストの問題から、あまり普及が進みませんでした。しかし今回の新型コロナにより、マンションの住民にすら「置き配」が常態化する中、宅配の1つの選択肢として、さらなる普及が進みそうです。