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【第511回】 植物ミートも外食やスーパーで並ぶように…

若いZ世代を中心に「代替食品」が人気に?

2022年3月16日更新

植物肉を使った“素食”(ベジテリアン)洋食レストランも登場
 中国で「顔値」(yán zhí)と称される顔面偏差値。顔だけでなく、商品やパッケージの見た目(ビジュアル)がもてはやされる風潮が広がる中、売上増や話題づくりに欠かせないマーケティングの要素にもなっています。

 特に、自身の外見やイメージに強いこだわりを持つ若いZ世代は、日常的なダイエットのほかに、様々な機能性食品を、集中力アップ、美白、安眠などに欠かせないアイテムとして好んで摂取しているようです。

 2021年の調査で、Z世代が代替食品を購入する動機は、ダイエット(62.1%)、おやつ替わり(45.3%)、食事替わり(38.9%)の順で、さらに栄養摂取・健康維持(28.4%)、美容・美顔(25.3%)、血糖値コントロール(23.2%)などが続いています。

 中国の代替食品市場で躍進するのが、横綱で紹介した中国「新消費」ブランドです。シリアルの「王飽飽」、プロテインバーの「ffit8」、代替食シェイクの「ワンダーラボ(Wonderlab)」や「Smeal」、サラダチキンの「SharkFit(鯊魚菲特)」など、若者の“顔値”ニーズにも対応しながら、SNSマーケティングをフル活用し、ネット通販を中心に売上を大きく伸ばしています。

 中国ネット調査大手のiResearch(艾瑞諮詢)は、中国の代替食品の市場規模は、2020年の473億元(8,514億円)から2021年にはほぼ倍増の924億元(1兆6,632億円)に達すると予想。とはいえ、中国の代替食市場の普及率は、欧米や日本に比べるとまだ低く、大きな成長の余地があるといえるでしょう。

 こうした代替食品の中で、特に注目なのが、植物ミートです。スターバックス、KFC、ピザハットなど大手外食チェーン店が相次いで植物ミート市場に参入、植物ミートを使った各種メニューを発売しています。大手スーパーの棚にも各種植物ミート商品が並ぶようになりました。

 「植物家(HEROTEIN)」や「星期零(STARFIELD)」など植物ミートのスタートアップ企業のほか、ネスレ傘下の植物ミートブランド「ハーベストグルメ(嘉植肴)」は、天猫に旗艦店をオープン。アメリカの「Beyond Meat」は浙江省嘉定の工場で生産を開始し、スターバックスやピザハット、アリババ系生鮮スーパーの盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)などとも提携するなど、多くの注目を集めています。

 市場調査会社のイプソス(Ipsos)によると、アンケート回答者の95%が植物ミートについて聞いたことがあり、77%が植物ミートが現在の食生活の代替食になりうると回答。また別の調査でも、回答者の66.2%が、より健康的という理由から植物ミートを購入すると回答。エコフレンドリーの観点から購入する人(59%)とダイエットのため(47.1%)が続き、動物愛護のためとした人も36.7%に達しています。

 値段は一般のミート(肉)よりも割高の植物ミート。中国では仏教など宗教的な理由から「素食」と称される肉類を扱わない伝統的なベジタリアン料理が古くから存在します。植物ミートが中国で広く受け入れられるのか…、2022年以降も注目したいと思います。

手軽に各種栄養素が摂取できるグミも人気に
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