中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
【第523回】 “買う”から“集う”場へと変化

若いZ世代が支持するセレクトショップに勢い

2022年6月8日更新

潮流ファッションが集まるセレクトショップ「POPXX U9」
 会報誌5月号では、中国のセレクトショップを特集しました。中国で「買手店」や「品牌集合店」と呼ばれるセレクトショップ。上海の長楽路や愚園路など、オシャレな街角に佇む小ぢんまりしたお店をイメージしますが、近年は大型ショッピングモールの人気テナント店になるなど、想像を遥かに超えた勢いと話題性があるようです。

 今回、セレクトショップに関心を抱いたきっかけは、会員企業様との打ち合わせでした。近年、上海のセレクトショップが人気だけでなく業績も好調とのこと。早速、中国版インスタグラムと称されるSNSアプリの小紅書(RED)で調べたところ、関連記事が出るわ出るわで、これはリサーチしなければとなりました。

 当会報誌3月号で取り上げた、化粧品サンプルを集めた新興ショップの「HARMAY話梅」や「THE COLORIST調色師」、「HAYDON黒洞」なども、セレクトショップの一形態と見なされています。また日本のLOFTやniko and ...もライフスタイル提案型のセレクトショップに分類するメディアもあります。両企業人気の背景には、昨今のセレクトショップニーズの高まりが関係しているのかもしれません。

 中国でマルチブランドのセレクトショップ業態を広めた立役者は、香港発の「I.T」だと誰もが認めるところでしょう。その後、同じく香港系の「Lane Crawford」や「JOYCE」が続き、中国初進出の海外ブランドを数多く導入しました。また海外のブランド各社にとっても、旺盛な消費欲を誇る中国人消費者にお披露目する場として、“橋渡し”的な役割を担いました。

 好調が続くセレクトショップ業界でしたが、他の業界同様に、ネット通販の荒波にさらされてしまいます。消費がオンライン化していくなか、リアル業態が全体的に低迷。また海外への旅行者が渡航先で“爆買い”するようになると同時に、海外居住者からの「代購」(代理購入)も広がり、スマホで手軽に買えるようになりました。

 さらに追い打ちをかけたのが、Z世代の台頭です。1995年以降生まれの若いZ世代は、海外の人気ブランドだからといって盲目的に熱狂しません。海外だろうが国内だろうが、自分が好きかどうかが判断基準です。また中国で「国潮」と呼ばれる国産品やブランドを求める愛国トレンドも相まって、従来のセレクトショップのやり方が通用しなくなってきました。

 一方で、逆にこうしたZ世代をターゲットにした新興のセレクトショップが続々と登場します。彼らが求める商品やブランドだけでなく、コト(体験)や写真映えを意識した内装デザイン、さらには中国で「圏層」と呼ばれる“お仲間”同士のつながりをベースにしたコミュニティを提案する店舗が大人気となっています。

 商品を売る場から、仲間が集まり交流する場へと変化する中国のセレクトショップ。カフェやアート展示など、個性あふれるセレクトショップが路面店だけでなくモールにも続々と進出しています。中国小売流通現場のリアル回避の一例として、日本企業の中国事業戦略のインサイトになればと調査・分析しています。


自転車やキャンプ用品のセレクトショップ「RE而意」

ブラインドボックス(盲盒)が人気の「POPMART」
A4サイズで印刷

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