最近巷でよく目にするのが「ZARA SHOP ONLINE」と書かれた紙袋を提げて町を歩く若者の姿。中国の若者の間でも知名度の高いスペインの大手ファストファッションブランドのZARAが、今年9月に中国で正式にオンライン販売を開始してから早2ヶ月が経とうとしています。ファストファッションブランドといえば、日本の「ユニクロ」、スウェーデン「H&M」、米「GAP」などがすでに中国でネット通販を始めており、後を追う形になりましたが、北京や上海、杭州など一線級など主要都市のみに開設された実店舗のみの販売からネット通販を通してまだ地方の未開拓地区の二三線級都市への販路拡大を狙っているのでしょう。

　実はこれまでもネット通販大手の淘宝（タオバオ）網（C2C）で「ZARA」と検索すると、ZARAの商品はすでにたくさん販売されていました。ZARAに限らず、バーバリーやアルマーニなど高級ブランド品も同じようにネットで販売されているのですが、どれも「剪標」商品と呼ばれ、検品不合格や生産余剰分など正規ルートでは流通できない衣類などのタグをはさみで切り取ったいわゆる“バッタもの”で、実際にはニセモノがほとんどだと思います。

　以前、ある調査でお会いした中国人の淘宝ヘビーユーザーが、バーバリーの商品を淘宝で購入する際に、チャットで「これはニセモノですか？」と店主に質問したところ、店主から「そんな、この値段でホンモノなわけないでしょう？」といわれたそうです。ニセモノを承知で売りつけているのかと不快感を持つかと思いきや、なんと当の本人からは「この店主は正直で誠実だ。よし、じゃこのショップから購入しよう」と思ったというコメントが･･･。

　ユーザーの間でもニセモノが当たり前の風潮だったのですが、正規ブランド品のみを扱うB2Cの天猫（淘宝商城）が、安心して信頼できるショップから正規品を購入したいというニーズを喚起しています。冒頭のZARAもそうですが、高級ブランド品を扱う走秀網、第五大道、尚品網、唯品会などがオープンし、業界では2011年は「中国奢侈品EC元年」と呼ばれています。

　中国電子商務研究中心によると、中国奢侈品ネット通販市場規模は2011年に107億元（前年比67.2%増）で、2013年には237.6億元になると予測しています。またネットリサーチ大手のiResearchによると、奢侈品のネット通販ユーザーの男女比は男性65.5%、女性34.5%で、男性は高級酒、腕時計を、女性は服飾、化粧品、鞄類をよく購入しているとのこと。

　中国のネット通販市場規模は日本を超えたといわれているのは、あくまでも規模全体の話で、このように安心して高級ブランド品がネットで購入できるようになってきて初めて日本企業にもチャンスが訪れてきたといえるでしょう。

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