客で溢れる舟山第一百貨1階の貴金属売り場

　中国四大仏教名山の一つである普陀山のお寺参りの傍ら、浙江省舟山市の現地視察を行ってきました。舟山は浙江省第2の都市、寧波の北東約70kmに位置し、全1391島（うち、人が住んでいるのは103島）からなる群島です。中国において群島で市に格付けされているのはこの舟山と海南省の三沙しかありません。寧波から舟山跨海大橋を介して陸続きとなっており、上海市内からも杭州跨海大橋を経由して車で4時間程度で到着します。

　舟山の主な産業には、地理的条件を生かした港湾及び船舶業と水産加工業をメインに、石油化学工業や普陀山を擁した観光業があります。2012年のGDPは851.95億元に達しました。人口は約112万人で一人当たりGDPは1万1800米ドル。一人当たりGDPでは浙江省でも杭州と寧波に次ぐ高いレベルに達しています。

　舟山の商圏は主に3つ。古くから市の中心として栄えている「定海」、普陀山の対岸一帯に広がる「東港」、舟山市政府があり高級ホテルやオフィスなどが建ち今後重点的に開発が進む「新城」です。いずれも都市の発展段階としては“これから”感を醸し出していました。

　しかし、いったん商圏のなか、つまり百貨店やスーパーに足を踏み入れてみると、舟山市民の経済力の高さと旺盛な消費意欲に驚かされました。地元最大の舟山第一百貨の1階貴金属売り場では、これまでどこの都市でも見たことがないほどの客が金のアクセサリーを物色していました。化粧品売り場も買い物客でいっぱいです。

　舟山の外資系流通業は英系テスコと仏系オーシャンのスーパー2店舗のみですが、特に東港にあるオーシャンは休日の夕方という時間帯のせいもありますが、買い物客でごった返していました。その隣にある凱虹広場では、ローカル系ベーカリー店に客が殺到し、スターバックスも若者と家族連れで席がほとんど埋まっていました。

　一方、定海でも地元最大手の華之友スーパーではショッピングカートを押して歩けないほどの客の入りようで、商品も日系含めハイエンド商品を幅広く取り揃えています。地方都市の地元系スーパーが日本ブランドを多く取り揃えていることは驚きに値します。グリコ、ユニ・チャーム、資生堂はもちろん、大都市では若干欧米やローカル系ブランドに押され気味なキリン、サントリー、日清食品、ネピア、花王なども大きな棚スペースを占めていました。

　舟山は人口がわずか100万強ということもあり、これまでは浙江省の一地方都市、ある意味では田舎町としか見ていませんでした。しかしながら、スーパーの品揃えと日系ブランドの充実度を目の当たりにすると、各地に無数ある舟山と同レベルの地方都市の消費力も無視できないと強く感じました。また、今回の舟山視察を通して、一人当たりGDPが1万米ドルを超えた都市というのが日系ブランド浸透の一つの基準になるのではとも思いました。

A4サイズで印刷

Copyright (C) CastGlobal Consulting Co., Ltd. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、
本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

前ページへ戻る

もっと見る