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【第76回】日系スーパーやコンビニが活躍する青島

デモの爪痕はいずこ? 活気づく青島のイオン

2013年6月19日更新

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  先週、端午節休暇に山東省の青島を訪れました。記憶に新しいのは、昨年9月の反日デモ暴動。その被害を受けたジャスコ黄島店(現在はイオンに名称変更)にも行きました。青島の中心街からは約30キロメートル。膠州湾をトンネルでくぐり、車で約40分かかります。青島といえば、青い海と小高い丘、紅色の屋根とドイツ租借地時代の名残が残った街並みの風景ですが、イオンがある黄島区は青島経済技術開発区を中心に都市開発が進む新興住宅地です。

  イオン黄島店の向かいには大商集団の麦凱楽(マイカル)と地元系の利群超市があり、郊外住宅地のショッピングゾーンという趣です。しかし、それらを除くと新築のマンション群が方々に広がっているのみで、中心街の賑やかさと比べると若干寂しい印象を受けました。

  このような環境の中、群集が暴動のように襲いかかって来た場面を想像すると、関係者はさぞかし恐ろしかっただろうと思います。現在は平静を取り戻して通常営業ですが、実際に店舗に足を踏み入れる際には若干緊張してしまいました。

  しかし、その不安も杞憂に過ぎませんでした。店内は地元の中国人客や家族連れで一杯。店員もお客さんも皆笑顔で、楽しいショッピング空間となっていました。スーパーでは日本の商品も数多く陳列されており、小型モニターで日本のコマーシャルを日本語で流しているキムチなどもありました。

  麦凱楽や利群超市では、花王のおむつ製品や地元系スーパーではあまり目にしない日本の商品も販売され、実際に購入している家族連れの中国人客もいました。あれほど反日で騒がれた場所でありながら、日本の商品やブランドの地元民への浸透度の高さを目の当たりにし、驚きを隠せませんでした。ただ、イオンに比べると客足はそれほど多くなく、地元民に愛されているのはどちらかというと、前者に軍配が上がります。

  青島中心部に戻ると、街角ではミニストップやセブンイレブンなど日系コンビニが多く目にするようになりました。特にイオングループ傘下のミニストップは地の利を生かして店舗数を急拡大。2013年5月時点で53店舗となっています。日本でお馴染みのソフトクリームも販売されており、トレードマークの黄色い看板も目立ちます。

  一方、セブンイレブンも地元の装飾用建材メーカー、衆地集団と合弁会社を設立し、山東省全体で5000店まで増加させる計画との報道も出ています。実際、イオン黄島店の入り口すぐ横には木材でできたお洒落な外壁の店舗を設置。イオンに来るお客さんに対して「7-11」ブランドをアピールしているかのようにも見えました。

  昨年の反日デモで最も被害の大きかった都市のひとつ、青島。騒動にもめげず事業を継続・拡大する日本企業のたくましさとともに、着々と地元民に浸透する地道な努力に心より敬服しました。

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