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ライブコマース市場分析 (8)
中国ライブコマース首位「淘宝直播」 ユーザー4億人、取引額2,000億元突破
2021年1月15日
中国ライブコマース首位「淘宝直播」
ユーザー4億人、取引額2,000億元突破

  淘宝が発表した「2020淘宝直播新経済報告」によると、2019年末時点の淘宝直播(タオバオライブ)のユーザー数は4億人で、年間の取引額は2,000億元に達しているという。

  EC全体に対するライブコマースの比率(ライブ動画配信により発生した売上/EC売上全体)は、2018年同期比で2倍増。1日に淘宝直播で配信される動画は延べ35万時間だった。

  動画配信するライブルーム(直播間)は、世界73ヶ国に散らばり、業種も工場から農地、商店、ショッピングセンター、街頭、市場(いちば)と多種多様だ。

  ライブコマースの利用について、業界別では大型家電、自動車、生活家電、生活情報(出前、グルメ、フィットネス、美容など)、書籍・音楽・動画などが伸びている。従来はオフラインでの販売が主体と思われていた自動車、大型家電、書籍などの分野で、ライブコマースが積極活用されているのが意外だ 。
特に自動車業界では、ライブコマースがすでに新たな販売モデルとして定着しつつある。2020年3月末までに、天猫汽車と淘宝で配信されたライブ動画は15,000回を超えている。

  自動車の共同購入も徐々に広まりつつあるようだ。3月21日に天猫汽車でライブ動画配信された共同購入イベントに 、マセラッティ、アウディ、ボルボ、リンカーン、トヨタなど40社超の4S店(ディーラー)が10,000店以上も参加した。視聴者は29の省・直轄市・自治区の約200都市に及んだ。(図6:淘宝直播の業界別取引額トップ10)(図7:淘宝直播の業界別利用率の伸び幅トップ10)

小型ロケット販売で話題に
主役は「80後」「90後」世代

  ライブコマースに取り組む業界の数が多くなればなるほど、購入できる商品の種類も増えていく。2019年末時点で、淘宝直播の1日の平均商品件数は、前年比で190%増。すでに淘宝・天猫にあるほとんどのジャンルがカバーされている。

  2020年4月1日に、人気配信主の「薇婭」が動画配信した史上最高額4,000万元の商品が多くの注目を集めた。 それは、小型ロケット「快舟一号甲(A)」の発射とそのブランド利用のライセンシーだ  。驚くことに、配信からわずか5分で800人以上が50万元のデポジットの支払いを申請。最終的に、長光衛星技術有限公司が購入権を獲得した。

  企業やメーカーも淘宝直播を重視しつつある。2019年末時点で、淘宝直播の1日の平均配信企業数は前年比100%近く増加。なかでも業界大手のアクティブ度が大きく高まっており、各企業の平均配信回数は1日1回に達している。

  ライブ動画を自ら配信する企業も増え、ライブ中継に出演したCEO(最高経営責任者)の数はすでに100人を超えている。

  動画配信者の特徴を見てみよう。その8割が「80後」(1980年代生まれ)と「90後」(1990年代生まれ)世代で、「90後」が全体の半数以上を占めている。また65%以上が女性だが、男性も増加傾向にある。男性の割合は2018年末には16.8%に過ぎなかったが、2019年末には30%に達している。(図8:動画配信者の年齢別構成)(図9:動画配信者の性別構成)
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