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【第455回】 住宅関連消費にも「国潮」(愛国)の波が!!
家具・内装で流行りの「新中式」スタイルとは??
2021年1月27日
 会報誌20年12月号で取り上げた中国人の「家」意識の変化。新型コロナの流行で、自宅や家族との時間が否応なしにも急増。他国と比べて中国国内の感染状況はかなり抑え込まれており、基本的にはコロナ前とほぼ同じ生活が送れていますが、それでも外食などを控えて自宅で巣ごもりようとする動きがあるのも事実です。

 近年顕著となっている、若者を中心に中国のブランドや商品をより好む「国潮」(愛国)トレンド。先週のメルマガでも「独身の日」の双11(ダブルイレブン)セールで、中国人消費者の約6割が中国ブランドを好んでいるとお伝えしました。家電やIT、コスメ、食品などでシェアを高めつつありますが、その国潮ブームが、住宅関連消費にも広がりつつあるようです。

 第一財経傘下の調査会社CBNDataによると、住宅関連消費における中国ブランドのシェアが、多くの品目ですでに7割以上を占めているもよう。その割合はますます上昇傾向にあり、大型家電やキッチン家電では、中国ブランドの割合が特に高くなっているようです。

 ここで注目なのが、家具や内装、インテリアで「新中式」と呼ばれる新しいスタイルの人気が高まっている点。現代の建築デザインに伝統的な中国テイストを取り入れた新しい潮流で、一昔前に流行った剛健質実な「紅木(唐木)」家具とは異なり、白・黒・灰色を基調としたシンプルかつシックな雰囲気が漂っています。

 日本の「わび・さび」を彷彿させるようなイメージで、中国の伝統や文化を内包しながら、より洗練かつ簡素化された新中式スタイル。単なるデザインとしてだけではなく、シンプルさの中に滲む格式の高さや文化の香りが、特に「80後」や「90後」世代の高所得知識層から支持されているようです。実際に新中式を好む消費者の割合が、約4割にも達しているという調査結果もあります。

 一方で、若い「90後」や「95後」世代の中には、シンプルでナチュラルなテイストを好む人が多く、北欧風の家具やインテリアも人気だとか。ニーズの多様化が進む中国。日本の得意とするシンプルなデザインで、かつ実用性の高い家具や家庭用品も、このトレンドに乗じていくべきでしょう。
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