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2020年中国消費トレンド番付 (1)
東西横綱にはもちろん「新型コロナ」!!
2021年1月22日
コロナに翻弄された2020年
経済・社会・生活に広く影響

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上海の地下鉄ではマスク着用が義務化
  2020年。今年は中国にとっても、世界にとっても、天と地がひっくり返るほどの驚天動地の1年となった。これまでの経済・社会構造、生活スタイル、価値観など、ほとんどすべてがガラリと変わり、「ニューノーマル(新しい日常)」の一言では片付けられないほどの衝撃を、全世界の人たちに与えた。

その変化をもたらした正体は、もちろん新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だ。まだ世界中で感染が広がる中、急ピッチで開発が進められたワクチンがようやくイギリスとアメリカで接種開始。世界中にワクチンが行き渡り、元の経済活動や生活様式に戻るにはもうしばらくかかるだろうが、それでもコロナ収束に向けた第一歩を踏み出せたと言えるだろう。

今年1月に大規模な新型コロナの感染拡大(パンデミック)が始まった中国・武漢での都市封鎖(ロックダウン)のニュース映像は、世界中に衝撃を与えた。が、まさかわが町でも同じような状況になろうとは、当時誰ひとり思ってはいなかっただろう。

日本もこの被害を免れることはできず、感染拡大とともに、誰もが待ち望んでいた東京オリンピックの開催を延期。第三波の広がりが懸念される中、通常の経済活動もままならない状況が続く。

  こうした世界各国のコロナの惨状を尻目に、いち早く経済活動を回復させた中国。国外からの感染を未然に防ぐ水際対策も徹底し、生産だけでなく消費のほうも、昨年とほぼ同レベルの状態にまで戻している。

  11月11日の「独身の日」前後に開催された双11(ダブルイレブン)セールでも、アリババ(天猫)が取引額4,982億元と、昨年の2,684億元からほぼ倍増。同様に2,715億元だった京東(JDドットコム)などを含めたネット全体でも、取引額が8,403億元という驚異的な記録を打ち立て、世界中に旺盛な中国消費の健在ぶりをアピールする形となった。

  2016年から毎年会報誌12月号で取り上げてきた「中國消費トレンド番付」。今年も満を持して、この企画に取り組んだ。これといった注目すべきトレンドやトピックがなかった昨年(2019年)は、正直横綱を何にするか悩んだほどだった。

  一方、今年はなんといっても、新型コロナが圧倒的な存在感を示す。今年前半の消費を低迷させたダメージだけでなく、それを遥かに凌ぐほどのインパクトを、中国の政治、経済、社会から、人々の消費行動、生活様式、仕事、教育、ライフスタイル、娯楽、さらには価値観、人生観に至るまで広範囲に及ぼした。

  番付である以上、東西に分けて横綱から大関、関脇と格付けするのが一般的だが、今年はあえて東西共通でこの新型コロナを横綱にした。仮に東の横綱に新型コロナを持ってきたとして、西に何を持ってくるべきか、まったく想像すらできなかったのが実状だ。そのくらい新型コロナのインパクトは計り知れない。

  また関脇以下も、実は新型コロナと深く関わるトレンドやトピックスが目白押しとなっているが、あえて特筆すべき事象をピックアップした。中国で事業を展開する日本企業にとっても、知っておくべき、また注視しておくべき視点やテーマも考慮しながら選出した。では、これから大関以下の番付の内容を一つずつ解説していきたい。
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