中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


【第468回】 中国の飲食文化・習慣もガラッと様変わり!!
上海の焼き鳥屋で若い女性2人がいきなり熱燗??
2021年5月5日
 会報誌4月号では、中国の酒類市場の現状とトレンドについて調査・レポートしました。2004年から上海に住み始めていますが、当時は日本企業の中国進出ラッシュで、ほぼ毎晩、同僚やクライアントと外食でした。中華レストランの入口に着くやいなや、辺り一帯に白酒(パイチュウ)の独特な甘い香りが漂っていました。

 しかし2013年頃から接待を自粛する傾向が強まり、こうした会食の機会はめっきり減り、レストランでも白酒の香りを嗅ぐことがまれとなってきました。当時、中国の人たちは接待や会食ではたらふく飲みますが、プライベートでは、食事時にもあまりお酒を飲まないイメージがありました。日本人の「とりあえず生ビール!」とは、大きな違いでした。

 そうした中、メディアやネットなどで、茅台(マオタイ)や五粮液など白酒の酒造メーカーの業績が軒並み絶好調というニュースを何度も目にします。これら高級白酒は、接待や贈答用と思っていたのですが、どうしてそんなに売れているのか?と不思議でなりませんでした。

 一方で、先日クライアントと行った焼き鳥屋。いつもは日本人がよく行くお店に行くのですが、アフターコロナで中国人がどのように消費しているか見るべきだと思い、クチコミアプリの大衆点評で人気の「網紅店」をあえて選びました。

 狭い店内でテーブルがぎっしりと詰まった感は、まさに日本の焼き鳥屋そのものですが、コロナを経て、できればソーシャルディスタンスをもう少し保ってほしいとも思いました。鶏肉は新鮮で、「ちょうちん」などの希少部位もあり、かなり本格的です。

 周りはすべて中国人。カップルや同僚らしき人たちばかりでしたが、どのテーブルも生ビールや焼酎を飲んでいます。特に驚いたのは、もう夜の9時をまわった頃に入ってきた若い女性の2人客。今風の髪型と化粧と出で立ちで、見るからに流行に敏感な感じです。9時過ぎなので二次会なのかと思いきや、どしどしと食事が運ばれてきます。その中に、なんと徳利とおちょこに入った熱燗も出てきました。

 若い“イケてる”女性2人が、夜9時過ぎに焼き鳥を肴におちょこで乾杯。もう50に近いおっさんでも、このような飲み方はしません…。どこでどのように影響されたのかわかりませんが、すごく興味深い光景でした。中国人、特に若い人たちのお酒に対する考え方や楽しみ方が、10年前とはガラッと変わってきているのかもしれないと思い、中国のお酒市場について調査・レポートしました。
このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop