中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


【第106回】 春節経て中国でも2014年が本格スタート
午年は上昇機運のイメージから縁起のいい年
2014年1月29日
自宅玄関に「龍馬精神」の文字が…
自宅玄関に「龍馬精神」の文字が…
 いよいよ明日は除夕、春節(旧正月)の大晦日です。中国人の間では春節から新年が始まる意識が強く、実家に帰省する人たちから「明年見(また来年)」と挨拶されますが、中国にすでに16年いる私にとってもいまだに違和感を覚えます。

 干支も同様に春節からカウントされます。来年は「午(馬)」。中国の街中では至るところで馬をモチーフにした飾りやモニュメントが置かれています。「牛」年の私にとって、この「午」年は「害太歳」といい、12ある干支のうち、牛から数えてちょうど対(半分の6個目)にあたり、“裏”の年男(女)的な意味合いがあります。中国では年男(女)のことを「本命年」といい、その一年はあまり運勢がよくないとされていますが、確かに日本でも今年は本厄なので、何か因果関係があるのかなと思ってしまいます。

 一方、中国では、「馬」が龍とともに昇るや駆けるといった上昇機運のイメージから縁起のいい年とされています。マンションやお店の玄関にも馬の飾りとともに「馬到成功」や「一馬当先」などの四字熟語を目にします。

 「馬到成功」は昔、戦の際に軍馬が到着すればすぐに勝利を収めると言われたことから学業や事業などがすぐに勝利(成功)を収められるよう願った言葉です。また「一馬当先」も戦の際に馬が先陣を切って突破口を切り開けば戦況が優位になるということで、何事も先頭に立ってリードし、道を切り開くべきだという意味を込めた言葉です。

 そうしたなか、上海の自宅マンションの玄関には「龍馬精神」という四字熟語も目にしました。まさか「坂本龍馬の精神???」と一瞬思いましたが、これも古代の伝説で語り継がれた龍に似た駿馬(龍馬)にちなみ、漢民族の前身とされる華夏民族の時代から向上、進取、不屈などの精神や道徳を形容する言葉として使われています。

 学生時代から尊敬する坂本龍馬ですが、確かに彼の行動や哲学にはこの華夏民族から引き継がれた思想や精神に相通じるものがあったのでしょう。私も改めて「龍馬」の精神を念頭に、「害太歳」の1年を一気に駆け抜けようと中国の新年を前にそう思いを引き締めました。


このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop