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【第132回】 中国の食品問題が再燃、リスクマネジメント再考を
外資にも飛び火、根深い食への不信感
2014年7月30日
外資にも飛び火、根深い食への不信感
期限切れ肉の報道も気にならない?(@雲南省・昆明のマクドナルドにて)
 また出ました、中国での食品問題。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなど大手ファストフードチェーンに鶏肉を卸している米系食肉加工食品会社の「上海福喜食品」が、期限切れの肉や床に落ちた肉をそのまま商品化している映像がメディアに流れました。

 日本でも当初は他人事と思いきや、マクドナルドやファミリーマートが同社から鶏肉を仕入れていたということで大きく取り上げられています。

 これまでも粉ミルクへのメラミン混入や羊肉が実はネズミ肉だったといった問題が取り上げられ、食への不信感は広まる一方でした。中国にいるとこうした問題はもう当たり前で、先日行った90後(90年代生まれ)の若者に対するグループインタビューでも「空気がもうこんな(劣悪な)状態なのに、食品なんて言わずもがなでしょ!」と半ば呆れ顔で発言していた参加者もいました。

 昨年もケンタッキーがニワトリの成長を促す抗生物質やホルモン剤を過剰に投与していた問題が報じられ、安全性をアピールするキャンペーンが全国的に展開されたばかり。鳥インフルエンザの発生とも相まって大幅な売り上げ減から立ち直りつつあるタイミングでの事件発覚でした。

 しかし、こうした不信感はあくまでも地場(内資)系食品メーカーに対するものがメインでした。外資系に対してはどこか安心感や信頼感を抱いていた中国人消費者。ただ、今回に限っては「外資までも……」と落胆したはずです。これを機に食に対する安全気運が高まるかと思いきや、各種メディアでの取り扱いは逆にトーンダウンしており、日本での熱い報道とは雲泥の差です。

 こうなると、単に中国人消費者は食の安全に対してもう麻痺しているのか、それともネット上で噂されているように「外資たたき」など何らかの政治的思惑があったのか、と疑いたくなってきます。今回は米系企業でしたが、いつ日系企業にも牙をむかれるか分かりません。単なるメディア対策だけにとどまらず、こうした政治外交問題にも思考を拡げる必要のある中国でのリスクマネジメント。今回の事件は「他山の石」として、改めて中国での企業経営のリスクとヘッジ策を再考する絶好の機会にすべきだと考えます。

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