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【第134回】 逆風に対し新業態で挑む書店
日中の書店に見る新たなビジネスチャンス
2014年8月20日
世界一美しいといわれる書店「老書虫(The Bookworm)」(北京三里屯)
世界一美しいといわれる書店「老書虫(The Bookworm)」(北京三里屯)
 東洋経済オンラインの「ビールが飲める書店に注目」(2014年7月10日:http://toyokeizai.net/articles/-/42074) という記事で、東京下北沢の「B&B」が紹介されていました。ネット通販や電子書籍の普及のあおりを受け、既存の書店が閉店していくなか、生き残りをかけて新たな業態変化が求められています。そうしたなか、このB&Bでは書店ながらビールが飲めたり、イベントなどを開催し、本を販売するだけのスペースから知識を向上できる場へと進化し、注目を集めているといいます。

 こうした時代の流れが中国でも起こっています。

 北京の三里屯・凱富酒店の南側に、古いアパート群をリノベートし、お洒落なレストランやバーが並ぶその一角に世界一美しいといわれる書店「老書虫(The Bookworm)」があります。外見は薄汚く古臭い2階建ての背の低いビルですが、その屋上がガラス張りとなっており、屋根裏部屋的に増設された感じの店構え。階段を上り2階の入り口に向かうとレトロな雰囲気ながら天井までそびえ立つ窓ガラスに囲まれたオープンスペースのなか、その壁一面に本棚が並べられ、洋書が所せましと並べられています。

 店内にはテーブルとイスが並べられ、コーヒーや食事を楽しむことも可能。大きなバーカウンターも設置され、午後4時から8時まではハッピーアワーで、瓶ビール2本で1本サービスといったプロモーションもあります。書店というよりはバーの雰囲気が満載です。

 地元の英語誌「thebeijinger」でも毎年ベストカフェに表彰され、多くの外国人や地元の若者から人気を集めています。一番の特徴は、毎週日替わりで詩の朗読や演奏会などの各種イベントを開催しているところ。夜になるとワインやカクテルグラスを片手に本を読んだり、音楽を聞き入っている客で賑わいます。

 一方、24時間営業に乗り出した書店も出てきました。故宮北側の北海公園に近い東城区の美術館近くにある老舗書店「三聯韜奮書店」。深夜ながら店内に並べられた机や床に座り読書をする若者の姿は、書店というよりはむしろ図書館のよう。李克強首相から激励の手紙が届いたそうで、内需拡大を急務とする現政権からも新しいサービス形態として期待されています。

 日中での需要の変化やビジネスチャンスにほとんど時差がなくなってきています。日本での先端技術や流行を時間差で中国に持って行くという意識から、日本で流行り、求められている商品やサービスをそのままリアルタイムで中国にも持って行くという意識へ変えていく必要があるのかもしれません。 


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