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北の港町で一番のホットスポットは?
大連で見たコト消費の進化
2016年10月26日
マレーシア系パビリオン(Pavilion)の中国第一号店「柏威年購物中心」
マレーシア系パビリオンの中国第一号店「柏威年購物中心」
 遼寧省第二の都市・大連。日本人にとっては、省都の瀋陽よりも馴染みが深いのではないでしょうか。個人的にも祖母が戦前に大連に3年居住していたこともあり、子供の頃から大連という地名は幾度となく聞かされてきました。04年から上海に住み始めてからも、仕事、プライベート含め毎年数回は必ず訪れる街。日本企業にとっても、中国進出の第一歩として選ばれる都市の一つでしょう。

 9月初旬に、大連で最近オープンした商業施設を改めて視察する機会がありました。まずは15年4月にオープンした「柏威年購物中心」。マレーシア系パビリオン(Pavilion)の中国第一号店で、高さ385mで東北地区一のノッポビルとしても話題を集めています。周辺は大連駅から労働公園へと広がる歩行街を中心に、マイカルが98年に投資した麦凱楽商場(04年に大商集団に売却)や大連商場、新瑪特購物休閑広場など大連を代表する青泥窪商圏に位置しています。

 施設内は吹き抜けのガラス屋根から注がれる自然光が開放的なイメージを与える“今どき”の洗練された内装とフロア構成。お洒落で独特な設計のレストラン群やスポーツジム、喫茶と衣類販売が併設された複合書店「簡匯空間」など、昨今のコト消費のトレンドも意識。地下には台湾の名産品を集めた「台湾生活館」、料理教室などが開催できるキッチンスペースも併設している独系調理用具のツヴィリング、商品の展示販売をしながら実際に自社のジューサーで搾った野菜や果物ジュースを販売する韓国系ヒューロムなど、単なるモノ消費から一歩抜きん出た売り方が好評。今、大連っ子の間で一番 “ホット”なスポットになっています。
大連初のLINEフレンズストアが入居する「恒隆広場」
大連初のLINEフレンズストアが入居する「恒隆広場」

 一方、モノ消費の象徴的なイメージのある「恒隆広場」は、大連市政府や奥林匹克広場周辺に広がる長春路商圏に15年末にプレオープン、9月9日に正式開店しました。上海・南京西路の恒隆広場同様、館内は欧米系ブランドが集まるハイエンドモールの雰囲気に満ちていますが、訪問した9月初旬でも空きテナントが目立つ状況。客の入りも今ひとつで、1階フロアも閑散としていました。しかし、注目に値するのが、大連初のLINEフレンズストアが入居していること。入り口に置かれた人気キャラクター・ブラウンの巨大フィギュアが一際目立ちます。経済の冷え込みが深刻な遼寧省で、どこまで「モノ」消費を引っ張れるか、今後の動向を注視したいと思います。


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