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【第247回】 内陸部の中でも経済発展は出遅れ気味
歴史ある江西省の南昌
2016年11月30日
 江西省の省都・南昌。江西省、南昌と言ってもなじみのない日本の方々は多いのではないでしょうか。スズキやいすゞが地場系の江西昌河汽車と合弁で自動車を生産しているようですが、日本企業がこぞって進出したというニュースをこれまでほとんど耳にした記憶がありません。

 江西省は、北から時計回りに、安徽、浙江、福建、広東、湖南、湖北の各省にぐるっと囲まれた場所にあり、内陸部の中でも比較的沿岸部に近い省です。にもかかわらず、経済発展は沿岸部は言うまでもなく、内陸部の中でも比較的後塵を拝するグループに属しています。

 江西省のGDPは2015年に1兆6723.8億元。31の直轄市・省のうち第18位と出遅れ、省都の南昌も4000億元で、都市別で第44位。交通網も沿岸部から内陸部を結ぶ幹線道路や鉄道が省の周りを取り囲むかのごとく整備され、まるで“陸の孤島”のよう。こうした理由からも、日本をはじめ外国企業から生産拠点としてだけでなく商業面でも投資が活発化しなかったのではないでしょうか。

 一方、中国国内では、南昌は歴史的にも重要な都市の一つです。成り立ちは西漢時代で実に2200年以上もさかのぼります。市内には長江の支流・赣江を望む場所に653年建造の滕王閣がそびえ立ち、武漢の黄鶴楼、岳陽の岳陽楼とともに中国では「江南三大名楼」として名声を轟かせています。

 また、最も重要な出来事といえば、1927年8月1日に南昌で起こった「八・一南昌起義(南昌蜂起)」。共産党が初めて独自の軍隊を形成したとされる武装蜂起で、その記念碑と広大なスペースの「八一広場」が南昌を代表する観光スポットにもなっています。そして、この八一広場を中心に市街地が四方八方に広がっています。

 南昌を初めて訪れたのは2007年。当時人材事業に携わっており、南昌の職業訓練学校をいくつか訪問し、日系メーカーの工場に派遣するための学生向け説明会を行っていました。その際にも八一広場や市内を見て回りましたが、とにかく食事が辛いのが思い出に残っています。また、日本料理屋を含め日本語の看板をほとんど目にしませんでした。

 そんな記憶のある南昌ですが、今回どうしても訪れたい理由がありました。それは中国全土でショッピングモールを運営する不動産デベロッパー大手の「万達(ワンダ)」が今年5月末にオープンしたテーマパーク「南昌万達主題楽園」を視察したかったからです。「コト」消費が叫ばれる昨今の中国において、「モノ」消費の象徴だった万達が内陸の南昌の地でどのような取り組みをしているのか。当初の想像を遥かに超えたサプライズの連続で完全に脱帽状態だったのですが、詳細は次号以降にお話したいと思います。


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