中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


出前アプリ大手3社「百度外売」「美団外売」「餓了么」徹底研究 (1)
中国の食卓やランチタイムをガラッと変える“外売(出前)”
2016年12月1日
 IMG_4317.jpg
食事時になると、レストランの前に「外売(デリバリー)」配達員のバイクがずらりと並ぶ
  最近、食事時になると、各地の人気レストランやオフィスビルの入り口に、ものすごい数の「外売(デリバリー)」配達員が集まっているのを目にする。彼らはバイクに乗り、後部座席には保温ボックスを積んでいる。皆、制服を身に纏い、客に対いても礼儀正しい態度で、職業意識の高さを感じさせる。レストランには様々な出前アプリのポスターやステッカーが貼られ、テーブルの上には出前アプリのQRコードが印刷された広告が置かれている。上海や北京など大都市だけでなく、ほぼ全国どの都市でも同じ光景だ。ほとんどの大衆レストランや軽食店が最低1つ以上のアプリと提携し、デリバリーサービスを提供している。

 eleme_1.jpg
デリバリーの配達員は皆きちんと制服を身にまとう
  2014年にO2O領域を盛り上げたのがタクシーやハイヤー等の配車アプリだとすると、2015年はこの出前アプリが活躍している。わずか数年前までは、デリバリーといえば、各店に電話をかけて注文するのが当たり前だった。専門のデリバリー業務を行っているのはマクドナルド、ケンタッキー・フライドチキン、ピザハット等の洋食系ファーストフードチェーンのみ。その他のレストランでのデリバリーといえば、従業員自らが運んでくるのがせいぜいだった。それが今ではアプリを利用して多くのお店に注文できるようになり、高級レストランから軽食まで、自宅やオフィスで座って待っているだけで手元まで運ばれてくるのだ。

  食事の時間が近づくと、オフィス内では「今日はどこのレストランにする?」とデリバリー店を選ぶ会話が交わされる。必ずしもオフィス近くのレストランにこだわらなくても良くなり、昼食の選択肢も増えた。食事のために込み合ったエレベーターに乗る必要もない。さらには、強い日差しや風雨に頭を悩ませることもない。こうして出前アプリは瞬く間にホワイトカラー層の生活必需品となった。

 
 IMG_3024.jpg
テーブルの上に、出前アプリのQRコードが印刷された広告を置くお店が増えている
現在最もメジャーな出前アプリといえば、「百度外売」、「美団外売」、「餓了么(麽)」(※「麽」は中国語の「吗(ですか?)」の口語表現。本文では臨場感を持たせるため簡体字の「么」を使う)だろう。それぞれ資本面で百度(バイドゥ)、腾訊(テンセント)、阿里巴巴(アリババ)を背景に持つ。また、それぞれイメージカラーが特徴的で、百度は「赤」、美団外売外売は「黄」、餓了么は「青」で、デリバリー要員の制服や保温ボックスも同じ色で統一されている。食事時のレストランやオフィスビルにはこの3つの色が入り乱れ、カラフルな熱気に包まれる。微信上では「以前は東京で怪獣を退治していた“ゴレンジャー”だが、いまや中国で食事をデリバリーしている」と揶揄したモーメンツが出回ったほど。すでに社会現象ともいえる光景だ。中国インターネット業界の3大巨頭のBAT(※百度(Baidu)、阿里巴巴(Alibaba)、騰訊(Tencent)の頭文字を取った略称)がすでに参入していることも、この市場の重要性と将来性の高さを表している。(続)

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします
このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop