中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


カルフールから見る消費ビジネスの変遷
中国小売のパイオニアの現状は?
2017年1月18日

 

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 年末年始の日本での休暇を終え、上海に戻って微信(ウィーチャット)を開き、朋友圏(モーメンツ)を眺めていると、仏系スーパー大手のカルフールからの広告が入っていました。微信の公式アカウントによるものです。

 これまでも、フォローしていないアカウント、例えばトヨタやスバルなどから広告が入って来ていたことはありました。普段はほとんどスルーするのですが、なぜか気になりました。「とりあえず」と思ってアイコンをタップしてみると、カルフールのネット通販アプリの宣伝。ネットに力を入れているイメージがない同社ですが、一号店や天猫超市(スーパー)などネット通販系の店舗にパイを奪われつつある昨今のトレンドを背景に、やっと重い腰を上げたのか……。

 早速アップルストアからインストールしてみました。中身はカルフールで販売されている食品や日用品がスマホ経由でも購入できるというもの。目に止まったのは日系のヤクルトと資生堂のシャンプー「TSUBAKI」くらいで、台湾からの越境商品もありますが、これといって欲しいという衝動にかられるものはありませんでした。

 そもそもカルフールで買いたいと思うものが、今やあまりないような気がします。1995年に進出し、中国スーパー業界の“パイオニア”として小売流通システムを作り上げた功労者でもあるカルフール。近年は業績不振が続き、ここ3年で30店舗以上を閉鎖しました。16年第3四半期の売上高は前年同期比7.8%ダウン。15年のランキングでは、台湾系の大潤発だけでなく、地場系の永輝超市にも抜かれて12位から14位に陥落しました。

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 14年末から「easy家楽福」というコンビニ形態への転換も進めています。16年末までに上海で10店舗まで拡大したものの、歩みは鈍いと言わざるを得ません。かつてはカルフールに棚を設けることを夢見た日本企業も多かったのですが、今やそれもほぼ皆無でしょう。

 アプリ自体は15年6月からスタートしているようです。が、掲載された商品を見る限りでは、再浮上の起爆剤になりそうな要素は見当たりません。変化のスピードが速い中国経済とビジネス環境を常に意識し、自己改革を怠らず、切磋琢磨する。このカルフールのアプリを見ながら改めて自らを顧み、リマインドセットしました。

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