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【第258回】 中国の自動車業界で強みを発揮
存在感際立つ日産シルフィ
2017年2月22日
 中国で一番売れている日本車が何かご存知でしょうか。正解は日産シルフィです。中国自動車工業協会が毎月発表する月別のセダン車種別販売台数でトップ10の常連であるばかりか、2016年12月には4.38万台でなんと首位、前月に続く快挙を達成しています。

 17年1月は独系VW(フォルクスワーゲン)のラビダ(5.24万台)とジェッタ(4.33万台)、米系GM(ゼネラル・モーターズ)のエクセル(3.45万台)に抜かれ、第4位(3.2万台)に甘んじましたが、日系では常にトップを独走。トヨタのカローラが2.63万台で9位にランクインしていますが、その他はランク外。中国でのシルフィ人気が際立っています。

 中国では「軒逸」の名で親しまれているシルフィ。日本ではより馴染みのある「ブルーバード」の後継車としての位置づけで、中国でも「BLUEBIRD SYLPHY」と両ブランドが標記された車を多く見かけます。これは06年に発売された旧モデルで、12年のモデルチェンジからシルフィのみのブランド名で販売。16年に新モデルを発表しましたが、前世代のモデルも「経典(Classic)」として販売を継続。実際には販売数全体の3~4割を前世代が占めているそうで、業界内では珍しい現象だとか。

 中国各地でレンタカーを利用していますが、どの都市でも欧米系や国産車が多く、日系はなかなかお目にかかれません。VWのラビダやGMのエクセルなどを選ぶのですが、いずれも運転しながらハンドルや加速具合など“重さ”を感じていました。そうしたなか、日産シルフィに乗車する機会があったのですが、その軽いハンドルの操作性やアクセルを踏んだ後の加速感など、「スポーツカー?」と思わせるような“軽い”乗り心地。さらには圧倒的な燃費の良さに、改めて日本車の良さを実感するとともに、シルフィが売れている理由がわかりました。

 最近道端で見かけるようになったスポーツカーのようなフォルムの車。「LANNIA」という日産の新モデルですが、よく見ると中国語で「藍鳥(Lan Niao)」と、つまりブルーバードの名が刻まれています。大衆車のイメージが強いブルーバードが、中国では若者向けのスポーツセダンとして復活。排気量1600cc以下の小型車に対する減税政策が1年間延長された中、藍鳥がどこまで売上を伸ばすか、シルフィとともに注目です。


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