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【第260回】 肩身が狭い喫煙者
上海でも禁煙条例がスタート
2017年3月8日
17年3月1日から上海での公共の建物内での禁煙を禁止する旨を伝えるポスターが至るところに貼られた
17年3月1日から上海での公共の建物内での禁煙を禁止する旨を伝えるポスターが至るところに貼られた
 上海では3月1日から公共の建物や室内での喫煙が全面的に禁止となりました。北京ではすでに施行されていた条例ですが、いよいよ上海でもスタート。ホテルやレストラン、スーパー、病院、学校などから、オフィスやビル、工場などにも適用されます。バスやタクシー、地下鉄、空港など公共交通機関や関連施設も当然禁止。さらにバーやKTV(カラオケ)などお酒を飲む席でもNGで、喫煙者は一旦屋外に出てから一服せざるをえません。

 仮に上記の場所で喫煙者を発見した場合、当人だけでなくお店などその場の運営主に対してやめるよう要求ができ、それでも改善されない場合は、ダイヤル「12345」の専用ホットラインに通報することもできます。

 実際に居酒屋などで喫煙している客は皆無となり、「喫煙できます?」と聞く客に対してお店のスタッフが「すみません」と答えるシーンも目にしました。違反に対する罰金が個人で最高200元、運営主に対しては3万元になる可能性もあり、お店側にとってもお断りするしか致し方ないでしょう。

 ホテルの予約サイトにも「喫煙室はありません」との表示が掲載されるようになりました。私は喫煙しないので、レストラン等での二次喫煙の被害もなくなり、むしろありがたい状況ですが、喫煙者にとってはますます肩身が狭くなったのではないでしょうか。

 中国の喫煙者数は15年末で3.16億人。10年から5年間で1500万人増加したそうです。国有企業の中国煙草総公司が販売シェア98%で市場をほぼ独占していますが、政府は15年にタバコの消費税を5%から11%に上げ、広告に対する制限も強化し始めました。この政策が功を奏してか、ここ10年増加傾向にあった中国タバコ販売量が、14年の2.4%増の後、ついに15年には2.4%減と初の減少となったそうです。

 今回の条例を機に喫煙量が減る一方で、中国でもアイコスなど電子加熱タバコが“爆売れ”しだすかもしれませんね(電子加熱タバコも基本禁止対象だとは思いますが……)。


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