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上海から1時間で行ける世界遺産
水郷「同里」は穴場の観光スポット
2017年3月29日
同里古鎮の一番のお薦めは「剪紙(切り絵)」
同里古鎮の一番のお薦めは「剪紙(切り絵)」
 先週末に蘇州呉江区にある江南水郷の古鎮「同里」に行きました。上海市内から西に約80km、車で1時間強の近さです。上海近郊の水郷の町といえば、朱家角、周庄、烏鎮、西塘などが有名で、これまで何度も訪れたことがありますが、同里は今回が初めて。実はその名前すら初耳でしたが、なんとそこにはユネスコの世界遺産があるとのことです。

 それは「退思園」と呼ばれる清朝時代の1885~87年に建てられた庭園。世界遺産といっても、「蘇州古典園林」として蘇州市内にある拙政園や留園、獅子林など8カ所の庭園とセットで登録されているのですが、唯一水郷の町にある世界遺産として一見の価値ありでしょう。

 一方、世界遺産と謳われながら、他の水郷古鎮と比べてそこまで観光地化されておらず、素朴な雰囲気が残っているのも同里の魅力です。古い建物が昔のまま残っており、そこで生活する人たちの暮らしぶりも垣間見れます。脇道に入ると人影もまばらで、水郷脇に設置されたテーブル席で食事やお茶、コーヒーなどを飲みながら、のんびりと一日を過ごせます。

 食事は太湖で穫れる河鮮(淡水魚介類)が名物。「太湖三白」と称される白魚、白蝦、銀魚を使った料理や、豚足を醤油や漢方薬剤で煮込んだ「状元蹄」が有名で、黄酒(紹興酒)と合わせると何ともいえない味わいです。また、清明節で食される「青団(青団子)」や「酒醸餅(甘酒餅)」など伝統的なスイーツも人気で、有名店「林家舗子」前には長蛇の列ができていました。

 しかし、同里の一番のお薦めは、「剪紙(切り絵)」です。退思園内にあるアトリエでは、切り絵職人の計建明氏が実演販売をしています。中国中央電視台(CCTV)のお正月番組にも出演し、他の主要メディアで何度も紹介された著名人で、大小のハサミを駆使して一枚の紙から切り出される作品は“お見事”。干支や福などをモチーフにした作品が額縁に入れられ、値段も150~200元前後とお手頃です。切り絵の技術だけでなくデザインのセンスもよく、日本へのお土産にも喜ばれること間違いなしです。

 数ある水郷古鎮の中では埋もれた感のある同里ですが、世界遺産と切り絵だけでも十分に行く価値があると思います。機会があれば、ぜひ一度訪れてみてください。 


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