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16年の総括から考察する17年の中国消費トレンド分析 (4)
三線・四線級都市にまでECが浸透〜コミュニティ型EC、オンライン+オフラインが発展トレンド(1)
2017年4月18日

 

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双十一で天猫の売上総額が1,207億元を超えた
21世紀経済研究院の統計によると、16 年の中国におけるEC(電子商取引)取引市場規模は世界首位で、その金額は25兆元超、オンラインの小売取引規模は5兆元に達している。これは社会消費財小売総額の10%を超える数字だ。星図数据の統計によると、中国最大のオンラインセール日である「双十一(11月11日)」の売上総額が1,770.4億元、その内訳は天猫1,207億、京東402億だった。中国のEC市場の活況ぶりは16年も際立っていたといえよう。

  中国政府もEC市場の長期的発展目標を掲げている。「電子商務『十三五(第13次5カ年)』計画」中、「2020年の電子商務取引高は40兆元、オンラインの小売総額は10兆元、関連業務従事者5,000万人」という3つの大きな指標が設けられている。

  地域別でみると、一線・二線級都市ではECの浸透率が高い。物流も相対的に発達しており、その発展はすでにかなり成熟しているといえる。一方、三線級以下の中・小都市では消費潜在力がまさに表面化しつつあるところだ。中国商務部の統計によると、16年の農村部におけるネットショッピングの市場価値は4,600億元に達している。JPモルガンのデータでは、15~18年にかけて中国で1.599億の新規ネットユーザーが誕生するが、北京、広東、上海といった一線級都市の新規ユーザーは僅か1,060万に留まり、ほとんどは小都市や農村部のユーザーとなっている。

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EC(電子商取引)が三線・四線都市に浸透
  三線・四線級都市は、オフラインの消費(小売・流通)チャネルのカバー範囲に限界があり、オンラインの方がより多くの選択肢を享受できる。中・小都市の人口総数は大きく、ここで育ちつつある新ブルジョア階級にネットショッピングの習慣が定着すれば、その巨大な購買力は中国EC市場にとってさらなる大きな成長に繋がることだろう。

  一方で、2016年の中国ネットショッピング市場の取引規模は、前年比26.2%増と相変わらずの成長傾向にあるものの、15年の成長率が36.8%であったことに比べると、その成長が緩やかになっていることも見逃せない。物流コストと顧客誘導のための広告宣伝費、運営費等の絶え間ない上昇がその主な理由だ。

  今後のEC市場の発展について、アリババの創業者・馬雲(ジャック・マー)が2016年10月に杭州雲栖で行ったスピーチを参考にしてみよう。馬雲曰く、「純粋なEC市場は間もなく終わりを告げ、小売業は新たな時代に入る。新たな時代においてはオンライン、オフライン、物流がより緊密に結びつくに違いない」と。国務院も16年11月に、「実体型小売業界の革新的転換推進に関する意見」を公布、オンライン及びオフラインの各優良企業が戦略的提携や、出資持分の持合い、買収及び再編成など多くの手段を通じて結びつき、市場の資源を有効に活用して新たな市場主体となること奨励している。(続)

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