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【第267回】 洗練さが溢れる巨大モールも
新興商業施設の勢い感じる珠海
2017年4月26日
 広東省・珠海のシンボル「珠海漁女像」。真珠を頭上に掲げて海上にそびえ立つ女性の石像で、中国全土での知名度は抜群です。その周りの海岸線は「情侶路(恋人路)」と呼ばれる道路が整備され、隣接の海濱公園や石景山公園、珠海博物館とともに観光・レジャー化が早くから進みました。

 この「吉大商圏」に1992年開業したのが珠海百貨広場。その後、国貿購物広場と吉大免税広場もオープン、珠海のスターバックス(スタバ)1号店も2010年5月2日にこの地にオープンしています。しかし、各施設ともに老朽化が目立ち、テナントもミドルからローエンドがメイン。スタバも週末の夕方ながら店内がガラガラの状態で、他の新興商業施設に客足を奪われた感が拭えない状況でした。

 その代表格は、西へ約10kmの場所にあるモール「華発商都」でしょう。地場系有力不動産デベロッパーの華発実業が14年に開業。敷地面積18万㎡を誇る広さで、モール前には巨大な噴水広場も設置。キッズ向けの汽車も走っており、買い物需要のみならず、市民の憩いの場として、多くの家族連れで賑わっています。

 同モールはA、B、C座に分かれており、B及びC座は中が吹き抜けのオープンスペース構造。真中のスペースにはチューリップの花畑が特設され、バイオリンの生演奏が披露されるなど、これまで他都市では見たことのない演出の洗練さを感じました。

 客足が芳しくないアパレル店舗を尻目に、飲食店は行列ができる店舗も。特に目立つ特徴は屋外のテラス席が多いこと。お洒落な洋食店やコーヒーショップだけでなく、牛肉火鍋店にも屋外席があり、多くの客がもくもくと湯気を立てながら火鍋を食べていたのが印象的でした。日系ではペッパーランチのほかに、麻布茶房も吉野家とセットで出店していました。

 もう一つ注目すべきなのが、そこから東に約4kmの場所にある「富華里」。中海地産が15年5月に開業、2~3階の低層建物が16棟並んだビレッジ式モールです。ストリート名にはそれぞれ馬、鹿、牛、象、雀と名付けられ、ウォーキングスペースが広く取られた真新しい設計です。仏系プルマンホテルも隣接、屋外のテラス席を設置したお洒落なバーやレストランも多く、上海の新天地や思南公館と似た雰囲気が、珠海の消費レベルの高さを物語っています。 


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