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【第273回】 広東グルメの大定番、新鮮さが売り
汕頭で味わう本場の「牛肉火鍋」
2017年6月7日
 端午節に訪れた広東省・汕頭。今回の視察の目的は、現地の消費状況の把握とともに、もう一つありました。それは、「牛肉火鍋」です。古くから牛の屠殺場があった潮汕エリア。コールドチェーン物流が整備されていない時代から、新鮮な牛肉が食べられることで有名でした。特に火鍋と牛肉を棒で叩いて団子状にした「牛肉丸」が名物料理で、中国全土に知れ渡っています。

 上海周辺でも2、3年前から、至るところで“雨後の筍”の如く出現した「潮汕牛肉」火鍋店。その新規オープン数は全国で4000店を超えるほどのブームに。どのお店も入口にガラス張りの調理場が設置され、赤々とした牛肉の塊が吊るされています。赤身や脂身、ホルモン系などいろいろな部位の牛肉が選べるのも特徴です。

 その「潮汕牛肉」本場の有名店「八合里海記火鍋」。09年創業、中国CCTVの著名料理番組「舌尖上的中国」や、香港俳優の謝霆鋒が主演する人気料理番組「十二道鋒味」で放映され人気爆発。14年11月から毎月平均1店舗以上のペースで店舗網を拡大、深セン、珠海、広州、北京、厦門など30店舗を数えます。汕頭のほか、深セン、広州、東莞、中山では、自社で屠殺場を運営、1日朝昼晩の3回配送で牛肉の鮮度を保持する徹底ぶり。売上が最も高い店舗では、1日に5頭分の牛肉が消費されるそうです。

 狭い路地裏のマンション群の一角にある八合里の店舗では、14時前でしたがまだ多くの客が順番待ちをしていました。赤身の嫩肉、若干脂身が残っている吊龍肉(サーロインやリブアイ)、牛肚(センマイ)に牛肉丸をオーダー。半透明の薄味のスープに5〜10秒間しゃぶしゃぶして食べます。牛肉特有の臭みが全く無く、肉も柔らかな歯ごたえ。今まで味わったことのない牛肉の旨味が口全体に広がり、新鮮な牛肉はここまで違うのかと驚愕すらしました。

 アメリカ産牛肉の輸入が間もなく解禁されそうな中国。牛肉がますます身近な存在となり、食の多様化がさらに進みそうですが、そうした海外牛肉とは違う味わいの汕頭牛肉。本場で機会があればぜひトライしてみてください。


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