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【第274回】 大人気の微信に死角はある?
中国スマホアプリの仁義なき戦い
2017年6月14日
スマホ決済“できない”レジを探すほうが難しくなってきた中国
スマホ決済“できない”レジを探すほうが難しくなってきた中国
 会報誌5月号の巻頭特集では、スマートフォン(スマホ)アプリのランキングから見る中国生活者の利用状況やトレンドを掘り下げました。中国の隅々にまで行き届いたスマホ。いまや駅や空港で、白髪の老人がスマホ画面を器用に操作しながら、株価や小説を見ている姿は別に珍しい光景ではなくなっています。

 コミュニケーション手段としての携帯通話機能から応用範囲が幅広く拡大。タクシーや自転車などの交通手段、出前代行やシェフ派遣などの飲食、映画やスポーツ観戦から「網紅(ネットアイドル)」によるライブ中継動画などのメディア、さらには支払いやフィンテックに代表される金融系など。あらゆる生活シーンにスマホアプリが登場し、中国ではスマホなしの生活がそもそも成り立たないほどの普及ぶりです。

 昨年末に訪れた海南島の海口。捕れたての新鮮な海鮮を調理して食べさせてくれるレストランで、見た目50歳以上の地元民10名強が大きな丸テーブルを囲んでいました。次々と運ばれてくる料理には目もくれず、全員がスマホの画面に釘付け。お互いを目の前にしながら、微信(ウィーチャット)でグループチャットをし、一斉に笑い声が飛んでいます。まだ使い初めの友人に教えながらのチャットなのですが、「折角会っているのに……」といった反感ムードはなし。新しいおもちゃを与えられた子供のように楽しくて仕方ない様子でした。

 このように老若男女を問わずに広がるスマホ生活圏。その構築に最も貢献したのがSNSの「微信」でしょう。音声(伝言)チャット機能で人気が爆発。近況を写真や動画で投稿する「朋友圏(モーメンツ)」でSNSの基盤を確固にし、さらにスマホ決済のインフラとして全土に普及。今や飛ぶ鳥を落とす勢いで、向かうところ敵なしの微信ですが、果たして死角はあるのか……。その牙城を切り崩すべく、刺客としてライバル企業のアリババが送り出した「口碑(Koubei)」についても調査・分析。アプリ戦争の内幕に迫りました。


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