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見よう見まねから本格派へ移行中
杭州・濱江区で感じる日本食の浸透
2017年10月18日

 

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16年にオープンしたモール「宝龍城」
 浙江省・杭州の濱江区。世界遺産で中国内でも有数の景勝地である「西湖」を望む中心区とは、銭塘江を隔てて南側に広がる新興開発都市です。潮の関係で河が逆流する「海嘯(かいしょう)」という特異な現象が発生することで古くから有名でしたが、16年9月のG20サミットの会場として選ばれ、ここ数年で一気に都市化が進行。今では、高層ビルやマンションが立ち並ぶ現代的な都市に様変わりしています。

 32万人の人口を擁する濱江区。地下鉄ですぐに西湖や下城区など市中心部に行けるのですが、地元住民の普段使いニーズの商業施設も続々とオープンしています。そのうち一番人気は、16年にオープンしたモール「宝龍城」です。中国全土32ヶ所で商業施設を運営する不動産デベロッパーの宝龍集団。杭州では下沙、富陽、萧山に続く4つ目のモールとなっています。

 GAPやZARAなどの他、ユニクロや無印良品など日系の人気テナントを揃え、平日ながら夕食時には5階のレストラン街に長蛇の列ができます。1階のオープンスペースには各国のレストランやバーが並び、消費力の高さが垣間見れます。

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 特に日本食は豊富なラインナップで、創作料理系の居酒屋から寿司、焼肉、うなぎなどのお店が目白押し。特にうなぎ屋は店頭の屋外シートのスペースに生簀を移動し、活きたうなぎがスイスイと泳いでいる姿をパフォーマンス的に見せるなど行き交う客の興味を引いていました。

 焼肉店も日本のチェーン店と遜色のないレベルの内装で、上質の牛肉を提供。日本留学経験のある店長が丁寧に接客してくれるだけでなく、紙製のテーブルマットには「牛肉は八分焼きがベスト」「牛タンは軽めに塩から焼く」「一辺に焼きすぎない」「タレは肉の半分くらいまで」「ロースはレアに焼く」といった“焼肉の心得”を記載。日本の焼肉文化を伝えたいという店主の気持ちがひしひしと伝わってきます。

 すでに“見よう見まね”の域を越え、本格的な料理と環境を提供する日本料理店、またそれらを満喫し、消費できる多くの中国人客。杭州の新興居住区で、つい数年前までは“田舎”と目された濱江区。そこで目にした光景や消費現場から、日本企業や飲食店にとって未知数の潜在ニーズを実感せざるをえませんでした。

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