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【第309回】 西安を代表する観光スポット
スケールに圧倒される兵馬俑
2018年2月21日
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百度(バイドゥ)の「AI(人工知能)」アプリを試す観光客
 中国を代表する観光都市の一つ、西安。西周から唐にかけて約1000年間も首都だった古都として、市内には石レンガの城壁が残るなど、これぞ“ザ・中国”的な街並みが魅力です。しかし、最も国内外から西安に観光客を引き寄せているのは「兵馬俑」でしょう。

 言わずと知れた兵馬俑。市中心部の鐘楼から北東へ約40kmの場所に、「秦始皇兵馬俑博物院」があります。入場チケットは大人一人150元(12月から2月のオフシーズン時は120元)。16歳以下と老人は無料で、購入にはパスポートの提示が必要です。

 兵馬俑が初めて発見されたのは1974年3月。地元の農民がたまたま入った井戸の先が、現在の「一号坑」でした。1987年には中国初のユネスコ世界遺産に登録、エジプトのピラミッドらとともに「世界8大奇跡」と称されています。

 兵馬俑博物院の訪問は今回で3回目。05年の初訪問は、漫画「島耕作」でお馴染みの弘兼憲史先生の取材に同行した際でした。何度見ても、あのずらりと並べられた兵隊や馬などの俑の威厳さとスケールの大きさに圧倒されます。これが2200年前に造られたのかと想像すると、中国の歴史と当時の技術力の高さ、さらには始皇帝の権力の強大さに頭が上がりません。

 今でこそ、こうした兵馬俑は灰色で若干黒ずんでいますが、実は発掘当時はすべての俑に色とりどりの塗装が施されていたとのこと。出土による湿度等の環境変化や微生物、可溶塩などにより、4秒後には表面が変化し始め、ものの4分で完全に色あせたそうです。今ではそうした塗装を保護する技術も開発され、当時の着色のまま残る展示品もあり、必見です。

 「3号坑」では、発掘直後の状態も展示されており、土に埋もれた兵士や馬の俑がグチャグチャな状態。ここからかけらを一つずつ掘り起こし、それらを立体パズルのように組み合わせて行く作業は、相当な忍耐と労力が必要であることが察知できます。

 院内では、スマートフォン(スマホ)SNSの微信(ウィーチャット)の公式アカウントを利用した中国語の電子ガイドサービスが無料で提供されています。一方、百度(バイドゥ)も兵馬俑や馬車の様子を立体的にビジュアルで再現するような「AI(人工知能)」アプリで対抗しており、主導権争いが繰り広げられています。

 そうした中、団体客を引き連れたガイドが「目が一重の兵士が多くないですか?それは当時、一重の方が美男子とされていたから」とか、「中級や高級の兵士になると、歳を重ねているせいかお腹周りが中年太りになっていますね」といった説明も。スマホ普及により、ガイド商売も“あがったり”と思っていましたが、改めて、こうしたプロによる“こぼれ話”的な説明も、価値あることを実感しました。

 中国に赴任されている方は特に、ぜひ一度は、この兵馬俑を見に西安を訪れてほしいと思います。 
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