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今年の「双11」&「黒五」セールに見る中国ECの消費トレンド(1)
中国人消費者は何を好み、何を買う?
2018年2月20日

  11月。中国の電子商取引(EC)業界にとって、一年で最も重要な月といっても過言ではない。EC業界の2大セール日、「双11(独身の日:11月11日)」と「黒五(黒色周五:ブラックフライデー)」はいずれも11月の開催だ。

  「双11」は10年のスタート、中国EC業界の最大手・アリババ傘下の淘宝(タオバオ)と天猫(Tモール)が開催するネットセール日だったが、ここ数年は中国全土のEC企業と消費者を巻き込んだ一年に一度の“お祭り”日となっている。

   規模の上でも、またそのプロモーションの強力さにおいても、国内最大規模を誇る。「黒五」は、越境ECを中心としたセール日で、欧米国家において感謝祭後の金曜日に開催されるクリスマスセールを起源とする。 ここ2年ほど、「黒五」への国内の注目度も年々増しており、「越境EC業界の双十一」と称されている。

  終わったばかりの今年の「双11」において、天猫の売上は再び新記録を更新、1682億元と昨年の1207億元から更に475億元も売上を伸ばした。
(表1:淘宝天猫「双11」取引額の推移)

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  なかでもモバイル機器による取引の割合が全体の9割を占め、消費者の大多数がスマートフォン(スマホ)で買い物をしていることがわかる。中国はすでに、完全にスマホでネットを利用する時代に入ったといっていいだろう。

  また、電子決済の支付宝(アリペイ)の取引数は、14.8億件と昨年比41%増加した。1日の物流件数は8.12億件に達し、配送は世界225の国及び地区にまで及んだ。

  天猫の全てのテナントのうち、売上が1億元を超えたブランドは167を数え、ユニクロ、太平鳥(PEACEBIRD)、李寧(LI-NING)、百雀羚(PECHOIN)、ニューバランス、ハイアール、美的(Midea)、シャープ、シーメンス、格力(GREE)など62ブランドに至っては、スタート後1時間で1億元の売上を達成した。

  中国EC業界ナンバー2の京東(JD.com)。今年初めて売上を公表、11月1日から11日の双11セール期間の売上は1271億元に達したもよう。
中国ビッグデータ分析の星途数拠の統計データによると、今年の双11の中国EC全体の売上は2539.7億元で、発送された小包の数は13.8億個にのぼったという。 なかでも天猫の売上は、全体の66.23%のシェアを占め、その他は京東が21.41%、蘇寧易購4.34%、唯品会3.43%、アマゾン1.95%、その他2.64%だった。(図1:2017年「双11」EC各社の売上シェア)
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  各社の越境EC部門の売上シェアは、天猫が5.4%、京東4.9%、蘇寧易購0.6%、アマゾン7.3%、唯品会3.7%だった。商品の品目別では、大型家電が最も多く15.2%、スマホ8.7%、パーソナルケア商品5.6%、ベビーマタニティ用品3.6%、生活家電2.8%、カラーコスメ2.5%と続いた。

  双11セールの直後に開催された「黒五」セールでは、双11との間隔があまりに近いことを危惧する声もあったが、結果は双11同様に目を見張るものだった。

  アマゾン海外購の双11セール当日の売上は昨年比約3倍近くに達したが、11月24日の黒五セール当日の売上の伸びは双11の2倍以上となった。
現在、中国越境EC業界のトップを走る網易考拉(Kaola.com)の今年の黒五セールの売上は更に大きく増加、昨年の6倍に達した。そのほか、天猫国際は3倍、京東全球購は2倍となった。

  双11と黒五における人気ブランド及び商品からは、中国人消費者の昨今の消費傾向も垣間見ることができる。地区や都市による差、消費昇級(アップグレード)トレンドもはっきりと浮き彫りになるだろう。

  以下では、17年の天猫「双11」の販売結果と、主な越境EC各社の統計をもとに、衣食住や行動の各方面について、それぞれの地区の特徴も踏まえながら、中国人消費者が今何を好み、何を買っているのかについて分析してみよう。

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