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新小売潮流下の物流競争~京東物流VS阿里巴巴菜鳥網絡 (1)
Eコマース(EC)の発展が先導する中国宅急便業界の急発展
2018年4月12日

 Eコマース業界の中国での急発展は、膨大な量の宅急便輸送需要を生み、Eコマース関連の輸送件数は、全輸送件数の7割を占めるに至っている。 国家郵政局の統計によると、2014年の中国の宅急便件数は139.6億件だったが、15年は206.7億件、16年には300億件を超えて312億件に達し、世界一となった。収入規模も年々増加し、2014年の2045.4億元は、15年には2769.6億元、16年には3974.4億元にまで増加している。(図1:中国の宅急便業務件数の推移/図2:中国の宅急便業務収入の推移) 2017年11月30日現在、全国の宅急便業務件数はすでに358.6億件に達し、年内に400億件を突破する可能性も見えて来た。中国物流及び調達聯合会(中国物流与采購入聯合会)が公表した最新データによると、2016年のEC関連物流業務量の伸びは50%以上を記録、なかでも農村地区のEC業務量の伸びは200%近くに達している。EC物流の急速な成長は消費領域における物流需要の伸びを支える大きな要因となっている。

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  2017年1~11月のデータをみると、宅急便の業務件数はネットセールの影響を非常に大きく受けていることがわかる。国家郵政局の統計によると、11月は双十一と黒五という二大セール日の影響もあり、全国の宅急便サービス企業の業務件数は47.1億件で前年比25.2%増、業務収入は565.5億元で前月比21.8%増を記録した。 また、6月は618大セールの影響により、全国の宅急便件数は34億件、前年比32.1%増加した。(図3:2016年と17年の宅急便業務量比較)

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  毎年のネットセール日、なかでも双十一(11月11日)は、宅急便業界にとって大きな試練の日だ。16年の双十一には天猫だけで6.57億件の宅急便需要が発生。17年には8.12億件と更に増加している。国家郵政局の統計によると、17年の双十一の主要ECプラットフォームの宅急便予約件数は8.5億件で、前年比29.4%増加した。 当日に郵便局及び宅急便会社が処理した小包の件数は3.31億件に達し、前年比31.5%の増加となった。この巨大な輸送需要に対応すべく、中国宅急便業界は絶えず人員の拡充を行っている。郵政局のデータによると、双十一期間中、業界全体で300万人近くが動員され、3,000万平米の用地、9万台の輸送車両及び90機あまりの貨物専用飛行機が投入された。業務処理能力は通常の3~5割増となった。

  従来型の人員、用地、交通手段等のほか、ハイテク関連の投資も行われた。ECプラットフォーム各社や宅急便会社は、自動分別設備等のハード面への投資や、ビッグデータ、データ分析等のソフト関連への投資も積極的に行った。

  中国の宅急便業界はEコマースの発展を契機に急速な発展を遂げた。双方でEC業界のシェアの8割を占める業界の二大巨頭、阿里巴巴と京東がこの巨大な市場に目をほっておくわけがない。現在、中国の宅急便業界には順豊をはじめとする第三者宅急便会社、 京東に代表されるEC自社物流、及び阿里巴巴傘下の菜鳥網絡の3つが存在し、市場を争っている。阿里巴巴と京東は、本業のみならず、宅急便及び物流の領域でどのような動きを見せているのか?各自の強みと弱点は何か?以下では詳細な分析を行ってみたい。

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