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【第317回】 観光中心に発展、消費には伸び代
世界遺産で有名な四川省・楽山
2018年4月18日
 四川省・楽山を訪れました。成都から南に約150キロメートル、車で2時間強の場所にあります。中国人にとって、楽山と聞いて真っ先に思い浮かべるのが「大仏」。「凌雲大仏」とも呼ばれる楽山大仏は、同じく楽山にある「中国仏教4大名山」の一つでもある峨眉山ともに、1996年にユネスコの世界遺産に登録されています。

 2011年には「中国で最も観光客を魅了するスポット」と評されたこともある峨眉山・楽山大仏。その他にも、世界灌漑(かんがい)施設遺産の「東風堰」を擁する楽山は、中国を代表する観光都市の一つ。17年には、国内外から実に5124万人(前年比17%増)が訪れ、観光収入は成都に次いで省内第2位の769.1億元(前年比23%増)となっています。

 楽山大仏景区の入場料は90元。入口から山道を登ること10分強で、大仏の顔のそばに到着。建造は唐の時代713年から始まり、約90年の歳月を経て803年に完成。全長71メートルの石刻弥勒仏坐像は、世界一の高さを誇ります。顔の部分だけでも縦14.7、幅10メートルあり、そのスケールの大きさに圧倒されます。

 大仏の顔の位置から、横の壁つたいに階段が下まで延びており、大仏を眺めながら下りることも可能。ただ、週末ということもあり長蛇の列ができていて、あえなく断念。なんとか下からの眺めも堪能したいと思っていたら、大仏に面した河に続々と遊覧船が押し寄せているのを発見。50元でチケットを購入し、船上から大仏の全体像を拝むことができました。

 常住人口326.5万人(17年末)の楽山。17年のGDPは省内第8位の1507.79億元で前年比8.2%増。社会消費品小売総額は705.5億元で13%増、都市住民可処分所得は3万955元で13%増と、まさに“伸び盛り”といえるでしょう。ただ、街中は四川の建築様式で造られた建物もあるなど、レトロ感満載。成都のように高層ビルが立ち並ぶ近代的な町並みとは違い、発展はまだこれからといった様子でした。

 今回は観光がメインだったので、消費現場の視察は後回しだったのですが、唯一、16年9月オープンの「万達(ワンダ)広場」モールを訪れました。スターバックスやマクドナルドはありましたが、残念ながら、日系のテナント出店はゼロ。1階からキッズ向けの遊戯施設や売り場となっており、踊り場にはVR体験コーナーも。映画館や充実したレストランなど、昨今の「コト(体験)」を意識したフロア構成が特に際立っていました。 
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