大手3社による強気なマーケティング手法
中古車プラットフォーム大手3社いずれも、著名タレントをイメージキャラクターに起用 |
2015年以降、中古車ECプラットフォーム各社は、大量の広告投入を開始した。
優信、人人車、瓜子の広告マーケティングへの熱意は、それぞれ甲乙つけ難い。ある報道によると、17年、瓜子と優信の広告への投資額はいずれも10億元を超えたという。人人車も配車アプリ大手の「滴滴出行」から出資を受けた後、8億元の広告投資を宣言した。
各社とも著名タレントを起用し、覚えやすいフレーズの“洗脳式”スローガンを大量に投入する手法を採用。優信は、人気コメディー俳優の王宝強に、「上優信二手車(優信の中古車に乗ろう)」と訴えさせた。
瓜子は、男らしいイメージの俳優である孫紅雷が「没有中間商賺牽差価(中間マージンなし)」と語りかける。人人車は実力派俳優の黄渤が、「人人車」と連呼した。
広告チャネルと形式は、瓜子が主にポスターとショート動画で地下鉄やエレベーター、バス停などに広告を掲載したのに対して、人人車はネット動画の再生前広告、ショート動画、さらには様々な映画やドラマのワンシーンを組み合わせて“お笑い”的な内容にした「鬼畜(悪搞)」動画の形式で、ブランド名の訴求に努めた。
優信はネット動画の再生前広告やスポンサー出稿の形で、テレビやネット動画のバラエティ番組を中心に広告を展開。3社とも、中古車市場を育て、消費者の興味を引くために、多大な労力とコストを費やしている。
なかでも、優信の広告手法は最もオリジナリティに溢れている。
2015年の人気オーディション歌番組「中国好声音」で、優勝者を発表する直前の60秒のCM枠を入札。数十名の著名タレントに「上上上上、上優信二手車(さあさあ、早く優信にアクセス(使用)して!!)」と叫ばせた。何らクリエイティブ性もなく、むしろ“悪趣味”ともいえるシンプルで荒っぽいCMは、結果的に数多くの視聴者を洗脳することに成功した。
17年には、汚職摘発をテーマに大人気となったテレビドラマ「人民的名義」の中で、ドラマの内容に即した広告手法を展開。例えば、都市の路上が映し出されたシーンでは、「優信からのお願い:夜間の運転はハイビームを使わないようにしましょう」と表示させ、温かい心遣いをアピール。こうした手法は、視聴者から嫌悪感や反感を招くことが少ないばかりか、より好印象なイメージを与える効果がある。。
優信と米映画「トランスフォーマー5」のコラボ |
同年6月には、ハリウッド大作映画「トランスフォーマー5」でも、「トランスフォーマーは全て中古」という謳い文句で、映画の内容に連動した広告を展開。80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)など若い世代の消費者層が抱く理想の自家用車のあり方を提唱し、彼らからの共鳴を得ることに成功した。
さらに18年からは、米ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオを新たなイメージキャラクターに起用。世界的にも有名なスターを広告塔に採用することで、国際的でハイエンドなイメージづくりをしながらブランド価値を高め、取引率の向上を目指している。
人人車は、配車アプリ大手の滴滴出行から出資を受けて以降、徐々にソーシャルメディアを利用したオリジナル広告の投入を増やしている。
例えば、北京西単と上海の大悦城(JOY CITY)、広州白雲万達(ワンダ)広場など商業施設の駐車場内で、国内で初めて小型プロジェクターによる広告の投影を実施。スマホSNSの微博(ウェイボ)や微信(ウィーチャット)などで、リアルタイムに話題がシェアされた。一方、新たな広告スタイルの一つとしても、中古車ECサイトだけでなく、多くの企業に注目された。
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