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【第355回】 「消費降級」「ノンブランド」が横綱
「2018年中国消費トレンド番付」発表!
2019年2月6日
2018年の中国消費で存在感を示したノンブランド「小米有品」店舗(@南京)

2018年の中国消費で存在感を示したノンブランド「小米有品」店舗(@南京)

 2018年も中国消費トレンド番付を発表しました。16年から毎年年末に編成しているこの番付。その年に起こった、また目立った商品やサービス、企業、流行、話題などを東西に分けて番付しています。

 18年の横綱は「消費降級(ダウングレード)」と、網易厳選や小米有品といった「ノンブランド」。いずれも最近のメルマガで何度も触れているので、あえてここで詳しい説明はしませんが、やはり18年の中国消費を語る上で最も欠かせないキーワードです。

 特に「消費降級」は、景気低迷や先行きの不透明感が漂う中国で、突出した影響力がありました。消費額や対象をダウングレードさせながら、それなりに良いモノを求める。17年の番付で横綱に選んだ「消費昇級(アップグレード)」との対比ですが、わずか1年で逆方向への流れが生まれたことは注目に値します。

 前述の「ノンブランド」のほかに、大関の「拼多多(ピンドウドウ)」、関脇「ラッキンコーヒー」、前頭「中古車アプリ」などはまさに「消費降級」を反映したもの。ブランドにはそれほどこだわらず、リーズナブルな価格でコストパフォーマンスを求める消費志向が背景にあります。

 同じく17年の横綱だった「新小売」ですが、18年はラッキンコーヒーと前頭の「アリババ親橙里モール」くらいで、あまり目立った動きがありませんでした。もちろんブームが萎んだわけでなく、もう「新小売」が小売流通現場で当たり前になりつつある裏返しともいえるでしょう。

 一方、編成し終わった後、改めて番付を眺めて発見したもう一つの特徴が要注目です。それは、消費の「内向き」傾向。関脇の「AIスピーカー」からはじまり、小結「ナマケモノ経済」と「おひとりさま経済」、前頭「eスポーツ」、「ペット」、敢闘賞「旅かえる(仏系)」と、室内に引きこもり、一人で楽しんだり癒やされたりするキーワードが並びました。

 16年に目立っていた「コト」消費や17年の「消費昇級」と比べると、どこか寂しい気持ちになるのは私だけでしょうか。スマホ決済の普及により、デリバリーやシェアリングを含め様々な新興サービスが登場し、生活は格段に便利になりましたが、その弊害もウォッチしておくべきかもしれません。19年にはどんなトレンドが生まれるのでしょうか。
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