IoT(モノのインターネット ※中国語名:物聯網)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、そして人工知能(AI)などの絶えまない技術革新に伴い、中国で「スマートホーム(智能家居)」産業の発展が著しい。家庭向けスマート製品を購入する消費者の数も、増加の一途を辿っている。
中国では2014 年が「スマートホーム元年」と呼ばれている。ハイアール、美的(Media)を始めとする家電大手各社が、相次いでスマート家電製品を発売したためだ。
その後、シャオミ(小米)、アリババ、バイドゥ(百度)などのインターネット大手やスタートアップ企業も続々参入。4年の時を経て、中国のスマートホーム業界は、その啓蒙期を終え、一般家庭への普及が進んでいる。
IoTの応用領域における新興産業として、中国政府もスマートホーム産業の発展を支持している。
2012年、スマートホームは「物聯網(IoT)『十二五(第十二次五ヶ年計画)』発展計画」の中で、初めて9大重点領域に指定された。
16年3月には、国務院の政府業務報告でも初めて取り上げられた。
17年1月に公布された「情報通信業界の発展計画物聯網(IoT)別冊」で、スマートホームが6大重点領域に格上げされた。
17年12月に公布された「次世代人工知能(AI)産業発展促進の三年行動計画(2018-2020年)」で、スマートホームがAIの8大領域に組み込まれている。
消費昇級も発展を後押し
スマートホームは「住宅」をキャリアとし、自動操作技術、コンピューター技術、IoT技術を融合、より快適、且つ省エネの居住環境の実現を目指すシステムといえる。
家電製品のコントロールをはじめ、環境監視、情報管理、エンタテイメントなど様々な機能を搭載。データ収集を通して、ユーザーの行為を分析・学習し、個々に合ったサービスを提供することも可能だ。
中国の住宅施工面積と竣工面積の指標は、近年高いレベルを保っている。過去10年間の不動産黄金期に蓄積した大量の住宅は、スマートホーム市場発展の安定した土台となっている。(図1:2013~17年 中国の商品不動産の施工面積と竣工面積)
モバイル通信とスマートフォン(スマホ)の普及も、スマートホームの遠隔操作機能の重要なベースとなった。
中国の一般家庭の消費レベルは年々上昇し、消費者のスマート製品に対するニーズも「価格主導」から「価値主導」へと変化している。
2014年比で見ても、高品質な製品や新しいテクノロジー製品がより好まれるようになっている。割高でもより良いモノを求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドの影響が、ここにも感じ取れる。(図2:2014~17年 中国消費者のスマート製品に対するニーズの変化)
主要消費層が生活環境やクオリティを重視するようになり、スマートホーム製品は高所得層のみが享受する贅沢品から、一般消費者にも手が届く普及品へと変化しつつある。