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【第368回】 市中心部の通行規制がポイント
なぜ高価な上海ナンバーを求めるのか?
2019年5月15日
 毎月のオークションの落札倍率5%の狭き門にもかかわらず、なぜそこまでして上海ナンバーをほしがるのでしょう。それは、上海市内で「通行規制」が敷かれているからです。

 市内には中心部から「内環」「中環」「外環」と環状線の高架路があるのですが、非上海ナンバーは午前7時~10時と午後3時~8時まで、中環内の高架路にプラスして浦東と浦西をつなぐ延安トンネルが通行禁止となります(一般道はOK)。

 この通行規制を回避するために、多くの上海在住者がオークションに参加するわけですが、参加費用は毎月60元。約20万人が参加しているので、全体で約1200万元(約2億円)。これにプラスして落札したナンバープレート代が一枚約8万元で約1万枚なので、全体で約8億元(約136億円)。これが、上海ナンバーが“世界で一番高い鉄板”とも揶揄される所以です。

 上海以外にも、ナンバープレートのオークション制を採用しているのは、北京、天津、広州、深セン、杭州、貴陽、海南省となっています。ちなみに、2014年に購入したマイカーは「深セン」ナンバー。当時はちょうどオークション制になる前で、ギリギリ「届出」のみでOK。6000元程度で取得できました。

 オークションが導入されて以来、2017年12月には9万元を超えましたが、最近は大体6万元前後で推移しているようです。おかげで、私の深センナンバーの資産価値も急騰してラッキーと思いきや、返却時にその値段で取引できるのは、あくまでもオークションで落札した人のみが対象とのこと。まさに「ぬか喜び」でした。

 上海で生活すればよく分かると思いますが、この通行規制はかなり厄介です。市の主要エリアはほとんどが「中環」内にあり、特に市の中心を東西に走る最も核となる幹線道路である「延安高架」路が通行できないのは“致命傷”とも言えます。よって、多くの上海人がこぞって上海(沪)ナンバーを求めるのですが、こうした状況を踏まえて、上海市政府がとった政策がまさに妙案。つまり、「新エネルギー車にはナンバープレートを無償で提供」というものです。(次号に続く) 
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