大手各社も宣伝効果に注目
LPL(英雄聯盟)とKPL(王者栄耀)が一番人気のeスポーツ |
インターネットの普及とともにゲーム産業が著しく発展した中国で、ゲーム対戦競技の「eスポーツ」が若者を中心にファン層を拡大している。
なかでも、2018年8月にインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会で、eスポーツが初めてデモンストレーション競技に加えられ、中国は金メダル2つと銀メダル1つを獲得。18年には「英雄聯盟(リーグ・オブ・レジェンド)」の世界トップトーナメントである「S8」の決勝で、中国のIG(Invictus Gaming)チームが優勝した。
2022年の杭州アジア大会では、eスポーツが正式種目に加えられることも決定しており、中国のeスポーツ熱は益々高まっている。
中国音数協ゲーム工委(GPC)及び伽馬データ(CNG)が共同で発表した「2018年中国ゲーム産業報告」によると、2018年の中国のゲーム競技人口は4.28億人に達すると見込まれている。うち、モバイルゲームユーザーは3.5億人で、19~24歳の若年層に集中している。中国はすでに世界最大のeスポーツ市場となった。
もう少し幅広く、ネットゲームユーザー全体の規模から見ると、その数は6.26億人となり、ほぼ中国の総人口の半数に達している。
同報告によれば、18年の中国eスポーツ市場の規模は834.4億元で、前年比14.2%増。なかでもモバイル版の市場規模は462.6億元で、前年比55.4%成長したもよう。
eスポーツの主な収入源はゲーム、実況、そして関連イベントからで、特にゲームからの収入が大部分を占めている。業界をリードする騰訊遊戯、巨人網絡、網易遊戯、HERO英雄互娯などのゲーム大手は、人気ゲームのイベントも数多く開催している。
なかでも、業界最大手の騰訊(テンセント)が主催するLPL(英雄聯盟)とKPL(王者栄耀)は、規模の面だけでなく影響力の面でも最大規模を誇る。この2つの競技の年間ライセンス収益は合計1億元を超え、コンテンツ再生回数は100億回を超えている。
eスポーツのトーナメントを実況するプラットフォームも存在感を強めている。
2014年から17年のわずか4年間で、eスポーツの実況業界の規模は2.7億元から28.3億元に急成長した。同業界をリードするのは「闘魚」と「虎牙」。両社はそれぞれ18年にテンセントから数億米ドルの融資を受けた。なかでも虎牙は中国で初めてニューヨーク株式市場で上場した実況プラットフォームとなった。
eスポーツのスポンサー協賛企業は今後もますます増えていくだろう |
eゲームの競技化や愛好者の裾野が広がるに伴い、より多くの企業がこの市場に着目。今後スポンサーシップや協賛なども増えていくことが予想される。
ネット通販、ネット動画サイト、自動車やビールメーカーといった一般大衆をターゲットにした企業にとって、eスポーツのユーザーやファンはまさにターゲット消費者層となる。イベントへの投資や露出により、若年消費者へ積極的にアピールを開始した企業も少なくない。
従来の一般スポーツに比べ、eスポーツ市場はより若くて、かつより高い経済力を持つ消費者が主体となっている。彼らはアニメなどの「二次元」のほか、ジムなどでのトレーニングにも関心が高いのが特徴だ。今後こうした業界を跨いだマーケティングも、大きな効果を生む可能性を秘めている。