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世界も認めるアリババ「新小売」大解剖 (2)
「新小売」の申し子「盒馬鮮生」 近隣の不動産価格にも影響
2019年8月9日
「新小売」の申し子「盒馬鮮生」
近隣の不動産価格にも影響

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「盒馬鮮生」のイートインコーナー
  「新小売」を見事に体現したロールモデルといえば、「盒馬鮮生」だろう。店舗数は2018年末時点で122店に達した。

  店内でピックアップした商品を配送部門に送り届けるために天井に張り巡らされたベルトコンベアが注目を集めたネットスーパー業態。店舗から半径3キロメートル内であれば、注文後30分から1時間内で無料で宅配するサービスが一気に広まった。

  また生け簀に入ったロブスターやタラバガニなど高級なシーフードを手ごろな価格で販売。さらにはそれら「生鮮食品」をその場で「調理」して食べれるグローサラント業態が、多くの消費者から注目を集めた。

  一方で電子ラベルを導入し、オンラインとオフラインを連結。さらにロボットレストランなどの新業態を生み出し、大きな成功を納めている。

  アリババの公開データによると、18年末時点で、1年半以上運営した盒馬(フーマー)の1坪当たりの収益は5万元。1店舗当たりの1日の平均売上高は80万元で、従来型のスーパーを大きく上回っているもよう。ネットからの注文が全体の60%を超えているのも大きな特徴だ。

  この爆発的人気により、「盒区房(盒馬鮮生の配達エリア内にある住宅のこと)」なる言葉まで生まれた。店舗から半径3キロメートル内の「盒区房」は高い人気を集め、販売価格や家賃も上がったことから、不動産市場でも大きな注目点となった。

  現在、「盒区房」に居住する人口は中国全土で2000万人を超えているという。

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「盒馬鮮生」は杭州の老舗百貨店「解百新元華」に出店
商業物件にとっても、盒馬の人気と集客力は大きな魅力となっている。廃業寸前の商業施設を生まれ変わらせるケースも少なくない。

  北京翠微百貨は盒馬の出店後、施設の来場者が倍増。他テナントの売上も10%アップしたという。杭州解百新元華店のオープンは、老朽化した百貨店内にあった他店の経営も立て直す結果になったともいわれている。 

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