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二線級都市へ昇進、急成長続く「貴州省・貴陽」(1)
貴州の経済発展を牽引する ビッグデータ産業
2019年10月11日

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貴州で最も有名な観光スポット「黄果樹瀑布」
  「天無三日晴、地無三里平、人無三分銀(天気は三日と晴れることがなく、土地は三里も平地がなく、人は三分の銀も持たない)」。 中国で貴州省と言えば、これが人々の一般的な印象だった。


  かつて貴州省は中国で最も貧しい省として知られていた。その貴州がここ数年、ビッグデータ産業の発展に力を入れている。政府の貧困扶助政策の恩恵もあり、貴州の経済は飛躍的な成長を遂げつつある。

  2018年、貴州省のGDPは1万4806億元で、前年比9.1%の成長を記録。中国全土で経済成長率の最も高い省となった。省都・貴陽市の18年のGDPは3798億元で、前年比9.9%増加。6年連続、全国で成長率の最も高い省都となった。

  フォーブス中国が公表した「2018中国大陸の最良商業都市ランキング」においても、貴陽は全国で第27位にランクイン。17年比で38位もランクを上げた。西南地区では重慶、成都、西安に次ぐ第4位だ。

  アメリカのシンクタンク「ミルケン研究所」が公表した「2018中国優秀都市ランキング」でも貴陽は深圳、重慶、天津、鄭州に次ぐ第5位。3年連続のランクインとなっている。

貴州の経済発展を牽引する
ビッグデータ産業

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全国初のビッグデータ取引所「貴陽大数据交易所」
  貴州省は、ビッグデータの発展を産業イノベーションの重要戦略の一つと捉えている。省都・貴陽市には、国家級のビッグデータ産業発展集積エリアとして、ビッグデータ産業エコモデル基地やデジタル物流産業モデル基地など10のビッグデータ産業集積区が建設され、大規模な産業エコシステムを構築しつつある。

  全国初のビッグデータ取引所である「貴陽大数据交易所」は 、12の省に支部を設置。225の優良なデータソースに接続し、取引可能なデータ商品は4000を超える。

  貴陽では、2015年から4年連続で「中国国際ビッグデータ産業博覧会」を開催。世界500強企業のインテル、エプソン、富士康(フォックスコン)も参加した。

  中国ビッグデータ分野のトップ企業である中電科(CETC)、アリババ、ファーウェイ、京東(JDドットコム)、奇虎360、科大訊飛(アイフライテック)のほか、貴州の満帮集団、朗瑪信息、東方世紀、易鯨捷などの優良企業が貴陽に本拠地を置いている。

  貴陽市ビッグデータ管理委員会の統計によると、2018年の貴陽市のビッグデータ企業数は5000社を超え、一定規模以上の企業も220社に達している。 ビッグデータ企業の主要営業収入は1000億元を突破し、17年比で22.4%成長。

  2017年の貴陽のビッグデータ企業の納税額は110億元に達し、前年比20%増、経済成長への貢献率も33%となった。ビッグデータは貴陽の経済及び社会発展の原動力となっている。

  「中共貴陽市委貴陽市人民政府 『中国のシリコンバレー』建設加速に関する実施意見」によると、貴陽市では2020年までにEB(エクサバイト)以上の巨大データ保存力を実現。5つの国家級モデル地区も基本的に完成する。

  さらに、核心的競争力と影響力を備えたビッグデータのブランド企業10社以上を育成、100以上のビッグデータ応用領域(シーン)を創出し、ビッグデータ関連企業1万社の招致を目指す計画だ。

  貴陽市は中国の「シリコンバレー」として、中国のビッグデータ関連イノベーションの中心地となっていくと期待されている。

  「2019年全市ビッグデータ発展業務要点」では、19年にビッグデータ企業の主要業務収入1200億元超を実現し、18年比20%の成長を遂げることが目標に掲げられている。


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