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【第398回】 中国“白髪”世代にもスマホライフが浸透
中国の“元気”なミドル・シニア層にも注目を!!
2019年12月11日
 会報誌11月号では“白髪”世代の調査レポートを紹介しました。白髪世代とは、中国で「銀髪族」(※中国語で「銀髪」は「白髪」の意)と称される45歳以上のミドル及びシニア層のこと。実は私もそのうちの1人で、シニアや高齢者で一括りにされるのは若干違和感がありながら、確かに白髪が目立ち始めてきているので致し方ないです。

 今回は45歳以上のスマートフォン(スマホ)ユーザーを対象にした調査結果をもとに、今後の中国ビジネスを考えていく上でのヒントになるものはないかと思いながらまとめました。これまで中国では消費の主力として若い世代がよく研究されています。特に近年ですと、1990年代生まれの「90後」や1995年からで区切った「95後」世代が注目の的になっています。

 もちろんEC(電子商取引)市場ではこうした若い世代が主流ではあるのですが、一方で「アクティブシニア」とも称される“元気”なシニア層も市場の潜在性は計り知れません。特に中国で定年を迎える60歳前後の「60後」世代は、ちょうど1979年から始まる改革開放政策による経済急成長の恩恵を、20~30代でもろに享受した世代です。

 約1億人のスマホユーザー数を誇る白髪世代。1日のスマホ平均使用時間は4~5時間。利用アプリのトップは微信(ウィーチャット)で、アクティブ浸透率は約85%、毎月の平均使用時間は約25時間にも達しているもよう。動画の視聴では「愛奇芸(iQIYI)」や「騰訊視頻(テンセントビデオ)」のほか、若者向けの「西瓜視頻」や「抖音(TikTok)」もよく見られれているのは注目です。

 さらに注目はECを楽しむ高齢者が増えつつある点。2018年12月に、ミドルシニア層がECに費やす時間が前年同期比27%増。同じく12月の消費が1000元を超えた人の割合も上昇しているようです。地図ナビ、ネット出前、配車アプリの利用も着実に伸びており、スマホ依存のライフスタイルが広がっています。

 2018年の65歳以上の人口は1.66億人。50年にはその割合が26%と高齢化社会が急ピッチで進む中国。介護や在宅ケアだけでなく、高齢者向けの健康食品・グッズ、スポーツ(フィットネス)、レジャー、学習、保険・資産運用などもチャンスが広がりそうです。

 日本の人口を遥かに超える中国シニア市場をどう攻略すべきか?若者同様に、ネットを活用したマーケティングやSNS(ソーシャルメディア)アプリをシニア向けにも今から研究し、積極活用していくべきでしょう。
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