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【第402回】 蘇寧とカルフールの相乗効果は??
スーパーは高齢者やコミュニティの憩いの場に??
2020年1月15日
 先週3日間、日本からの視察団とともに、上海の小売・流通現場を見て回りました。スーパーを中心に、コンビニやネットスーパーの倉庫などを視察したのですが、改めてリアルの消費現場の視察が「久しぶり」であることを実感しました。

 生活だけでなく、仕事的にもネタ探しにスーパーを訪れる機会がめっきり減った昨今ですが、今回、個人的に特に注目していたのがカルフールです。業績低迷により、昨年6月に、家電量販大手の蘇寧(スニン)が中国事業を買収。その後、蘇寧がカルフールをどのように変えていこうとしているのか、興味津々でした。

 訪れたのは上海の水城路にある店舗。数年前は中国全土でも一、二を争う売上を誇った人気店です。外壁や店内には「カルフール×蘇寧易購」と掲げられ、“蘇寧”色が強まっています。

 店内に入ってすぐ目にしたのが、以前の古びた家電売場が蘇寧に切り替わっていたこと。若干洗練された展示はまさに「餅は餅屋」。生鮮食品の売り場なども、春節(旧正月)を控えているせいか、ポップやポスターなどが賑やかになっています。品揃えもさすがの充実ぶりで、蘇寧による買収効果が現れているように感じました。

 一方で、客足のほうは午前の時間帯だったこともあるのかまばら状態。カートを引いているのは高齢者ばかりで、以前のような活気は見られませんでした。一方で、蘇寧の宅配網を活用したデリバリーによる売上が伸びており、昨年の双11セールでは、売上総額は31.2億元で前年比43%増の成長。店内の閑散さのみから判断するのは間違いかもしれません。

 しかし、ここまで客が来ないのであれば、旧態依然とした商品陳列を続ける必要はあるのでしょうか。もういっそのこと、高齢者が集う「憩いの場」にしても良いのではないかとも思いました。フロアを囲むようにして商品棚を並べ、真ん中のスペースはお茶や太極拳、ペットの遊び場みたいにするのも手かもしれません。高齢者だけでなく、広場舞(ダンス)の“ミセス”たちも冬の寒いシーズンには踊りに来るかもしれません。

 カルフールだけでなく、ウォルマートや大潤発(RTマート)にも行きましたが、客の入りはいまいち。一方で、いずれもデリバリー対応を大きくアピールしています。デリバリーがマストになった上海の小売現場で、リアルをどのように変革・改善していくのか。高齢化が急速に進む中国で、リアルのスーパーが将来どのような役割を担っていくのかにも注目しましょう。
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