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【第404回】 中国のトップ女優も“すっぴん”で参戦!!
TVショッピングのスマホ版「ライブコマース」とは??
2020年1月29日
 中国ではオフィスビルやマンションのエレベーターに液晶の動画広告画面が設置されています。最大手はフォーカスメディア(分衆伝媒)で、全国230都市で260万台のエレベーターに導入。テレビやネットに並ぶ主要広告媒体の一つになっています。

 私も最近の人気ブランドや商品、キャンペーンなどの情報をこうしたエレベーター広告から得るのですが、そうした中、ある広告に目を奪われました。それはファン・ビンビン(范冰冰)が自ら立ち上げたフェイスマスク「FAN BEAUTY」の動画広告です。

 ファン・ビンビンといえば、かつては中国で最も美しく、かつ稼ぐ女優として誰もが知る芸能人です。しかし2018年に巨額脱税の疑いで当局から拘束され、しばらく芸能界から姿を消していました。

 彼女の復帰を待ちわびているファンも多いでしょうが、まさかその復帰が大手コスメメーカーの広告塔としてではなく、自らのブランドを自ら動画で宣伝・販売するという「ライブコマース(直播)」の形で実現するとは。それもすっぴんで…。

 もちろんどういう意図で自分のブランドを立ち上げたのかは知りませんが、あのファン・ビンビンでさえも乗り出すライブコマースが、中国で大人気となっています。

 ライブコマースとはいわゆるテレビショッピングの「スマホ版」のこと。写真とテキストのみの説明から、動画で詳細に商品を説明してくれるのと、配信主の巧みなセールストークとが相まって、人気と売上が急上昇。昨年の双11(独身の日)セールでは、タオバオで200億元(約3,500億円)に達したようです。

 ライブコマースで超人気の配信主2人の名前はぜひ知っておきましょう。双11セールで売上が27億元超とされる女性の「薇娅(Viya)」と、“口紅一哥(口紅お兄さん”というニックネームでジャック・マー(馬雲)とも販売合戦した「李佳琦」です。両者は今や中国の“ヒカキン”とも言うべく、ネット上で強大な影響力を兼ね備えています。

 こうした新しい売り方は、日本企業にとってもチャンスなのではないでしょうか。写真とテキストだけでは伝えきれない商品の良さを動画で発信できるわけですから。日本本社の社長や商品開発部長などが出演し、通訳を交えながら片言の中国語で自社商品をアピールするというライブコマース動画にチャンレジしてもいいのでは??
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