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【第413回】 新型コロナが変える中国消費!!
ネットスーパーの利用急増、300%増も!!
2020年4月1日
 新型コロナウイルスが変える中国消費。今号は生鮮EC(ネットスーパー)について。

 ある情報ソースが発表した、新型コロナ禍が深刻だった期間における受注件数の比較。アリババ系ネットスーパーの「盒馬鮮生」は2019年同期比で220%増、「毎日優鮮」は300%増、「京東到家」は374%増といずれも大幅に急伸しました。

 また「叮咚買菜(ディンドン)」も、上海、杭州、無錫、蘇州、深センの5都市で、1日の受注件数が40万件、供給した野菜の量は1,000トンを超えたようです。

 こうした需要急増に伴い、ネットスーパー各社はサプライチェーンの強化に取り組みました。例えば、叮咚は除夕(春節前夜)当日、すべての調達担当者を提携先の雲南、貴州、山東省などの生産地に派遣。契約農家とのコミュニケーションを密にし、休暇中ながら収穫作業などの早期再開を打診したようです。

 また同時に産地直送の比率アップにも尽力。供給の安定化を図るとともに、直仕入れした野菜などを物流センターに集めて選別・検品することで、流通の中間段階を省き、さらなるコスト削減に取り組んでいます。

 こうしたニーズ急増を前に、それまでリアル店舗メインのスーパー各社も、ネット注文によるデリバリーサービスの導入を急ぎました。宅配代行アプリ「京東到家」によると、イオン、卜蜂蓮花(タイ系CPロータス)、歩歩高、緑地優選など大手スーパーチェーン約40社が、新型コロナ蔓延を機にネットスーパー分野に参入したとのこと。

 実際に、こうしたスーパー各社のデリバリー業務が80~200%増えたというアンケート結果もあります。湖南省を本拠とする「歩歩高超市(スーパー)」は、なんと48時間で宅配アプリ「小歩到家」をリリース。2020年1月の売上は前年比43%増。デリバリーも3倍増で、客平均単価は120元超だったようです。

 以前は出前(外売)に頼っていた若者も、新型コロナを機に自宅で自炊せざるをえなくなりました。また毎朝、伝統市場(いちば)やスーパーを巡ることを日課としていた高齢者も、食材の購入はネットスーパーしか選択肢がなくなりました。

 こうして半ば“強制”的にネットスーパーを使わざるをえなくなった中国。元々ここ数年、上海など都市部を中心に急拡大していたネットスーパーですが、今回を機にユーザー層はさらに広くあまねく普及しそうです。
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