中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


【第421回】 消費刺激策で中国消費はV字回復するか??
コロナで中国消費者のマインドや行動はどう変わった??
2020年5月27日
 会報誌5月号では、アフターコロナ(コロナ後)の中国消費について特集しました。新型コロナウイルス危機を経て、中国消費者のマインドや行動にどのような変化が現れたかについて、アンケート調査やEC(電子商取引)各社のビッグデータをもとに調査・分析しました。

 コロナ禍で「巣ごもり」生活を余儀なくされた中国。中国政府による徹底した外出制限が功を奏してか、4月に入ると各地で感染拡大が緩やかになりました。町中も外出する人が増え始め、もちろんコロナ前の状態には劣りますが、徐々に活気が戻りつつあります。

 コロナ禍で一気に冷え込んだ消費を回復させるため、矢継ぎ早に消費刺激策を打ち出した中国政府。上海でも市政府自ら5月1日の労働節(メーデー)から5日までの連休に、「五五購物節」セール・イベントを主催。オンラインとオフライン両方で、割引クーポンやキャッシュバックで消費を盛り上げました。

 実際に上海市内の商業施設では多くの客で賑わい、特に南京東路にある大丸百貨店は客が殺到し、館内は歩くスペースがない(もちろんソーシャルディスタンスが十分保てない)ほどいっぱいになったようです。

 中国でよく言われる「報復性(リベンジ)」消費がまさに始まったのでしょうか。コロナ禍で外出できず、お店で買物どころか、家族や友人と食事ができない日々が続きました。特に中国人にとって1年で最も大切で賑わう春節(旧正月)と重なったこともあり、これまで溜まった鬱憤を晴らす人たちで、消費もV字回復するだろうとも言われていました。

 確かに労働節休暇の消費全体のデータを見ると、総じて急回復した様子が伺えます。しかしこれらはあくまでも大幅な割引キャンペーンやクーポンがあったからで、いわゆる“リベンジ”的に消費したと解釈するのは、若干短絡的ではないかとも考えています。

 そこでマクロ的な消費データだけではなく、消費者一人ひとりがどのように消費や生活について考え行動しているのかをミクロ的に知りたいと思いました。世界的にコロナがまん延、中国だけでなく世界経済が大打撃を受ける中、将来の雇用や所得に対して不安もあると思います。

 それらを踏まえた上で、中国消費がどこに向かおうとしているのか…。日本企業にとっても、コロナ後の中国ビジネス戦略の再考が迫られている中、その一助になればとの思いでレポートにしました。
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