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【業界研究】中国スーパー業界 (1)
アプリ注文+宅配が“マスト”の時代に
2020年5月21日
目まぐるしく変わる業界地図
アプリ注文+宅配が“マスト”の時代に

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聯華超市は多くの店舗を閉店
  ここ数年、中国のスーパーマーケットはEコマースやコンビニなどの新興勢力に押され、大幅な業績低下に苦しんでいる。閉店した店舗も少なくない。国有企業をバックグラウンドに持つ聯華超市を例にとると、2015年~18年に閉店した店舗の数は1,945店に上る。

  かつて、カルフールやウォルマートなどの大型スーパーに行くことは、一般家庭の日常行為の1つだった。しかし現在、スーパーはどこも閑古鳥が鳴き、週末でさえかつての賑わいは見られない。訪れているのはネットで買物をしない高齢者ばかりだ。

  外資系スーパーは更に苦境に陥っている。市場の変化のみならず、コスト高や中国系スーパーとの競争にも晒されているためだ。

  2013年にはイギリス系のテスコが華潤創業に買収され、中国国内135店舗全てが「華潤万家」に改称された。2017年には韓国系のロッテマートが東北地区の21店舗と華東地区の72店舗を中国系の物美と利群に売却。

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ウォルマートもたくさんの店舗を閉店した
  2019年6月には蘇寧易購がフランス系スーパー大手カルフールの中国事業の株式80%を買収し、筆頭株主となった。最近もドイツ系大手のメトロが中国業務を売却しようとしているという噂が流れ、永輝か物美による買収が囁かれている。

  アメリカ系大手ウォルマートの業績も理想からは程遠い。2016年~18年には各年13店、24店、21店を閉店。純利益と利益率は減少を続けている。純利益は4年前の1,004.2億元から447.1億元に減少。利益率も3.37%から1.3%にまで落ち込んだ。2018年、中国のウォルマートの店舗数は400店を超え、2010年比で倍近くに増えているが、市場シェアでは2010年の11%から18年には5%と半減している。

  生き残りを賭けてコンビニなど他業態に進出したり、ネット通販(EC)展開やオンラインとオフラインを融合させた「新小売」モデルの導入したりなど、経営多角化に取り組むスーパーも少なくない。以下では、従来型スーパー各社の中国での現況と今後の発展トレンドについて分析してみたい。

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