中国ヘルステック(オンライン医療)アプリの最大手は、中国保険大手の平安保険が運営する「平安好医生(Ping An Good Doctor)」でしょう。
2014年8月設立で、15年4月に正式に運営を開始。18年5月には香港証券取引所で上場。19年末時点の登録ユーザー数は3.15億人、月間平均アクティブユーザー数は6,600万人で、売上も50億元を突破したようです。
平安好医生の主な業務は、ホームドクター、健康商城(EC)、消費性医療、健康管理の4つ。収益化(マネタイズ)が難しいとされるオンライン医療ですが、19年の各業務の営業収入はそれぞれ8.5億元、29億元、11億元、1.9億元。前年比でそれぞれ108.9%、55.7%、22.9%、22.7%増と軒並み成長しています。
まずホームドクターですが、保険大手の平安グループのリソースを最大限活用。18 年には、平安の商業保険と共同で会員向けサービスの提供を開始。短期間で会員は100 万人、売上は2億元に達しました。平安寿険(生命保険)や平安健康保険などとも提携して、年会費199元の会員プラン「就医 360」も発売。オンライン診療から外来診療、リハビリまでのトータルサービスを提供しています。
最大の収入源であるアプリ内のECコーナー「健康商城」も、提携薬局の数は、19年末時点で9.4万店以上。益豊、海王星辰、老百姓、国大などの全国チェーンも含まれ、中国全土32省、375都市をカバー。出店企業からは定額の年会費のほか、売上の4〜10%のコミッションを得ています。
注目は19年8月にリリースした有料健康管理サービス「私家医生」。会費はベーシック(499元/年)、高齢者向け(999元/年または1,999元/年(※保険料を含む))、子供向け(999元/年)の3種類。
このサービスの特徴は、マンツーマンによる「私人医生(※かかりつけ医の意)」サービス。健康管理からオンタイム問診、名医による再診、オフライン診療手配など、固定の医師との信頼関係をベースに、長期にわたる診察やアドバイスが享受できるのが最大のメリットです。
こうした患者と医師の信頼関係に基づいた医薬品の売上が、高いコンバージョン率とリピート率を実現しているとのこと。ソフトバンクと合弁で、日本のオンライン医療サービスに参入した同社の詳細について、会報誌5月号で調査・分析しています。