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【第438回】 第二子出産の「宝媽(ママ層)」がフリーター化!!
中国ソーシャルECが盛んになった理由とは??
2020年9月23日
 中国でソーシャルECが盛んになっている理由は何でしょう。

 まずはやはりスマートフォン(スマホ)の普及とともに、スマホを使ったネット通販の成長でしょう。中国互聯網信息中心(CNNIC)の統計によると、2020年3月時点の中国ネットユーザー数は9.04億人。そのうちスマホからの数は8.97億人で、ほぼ全員といってもいいでしょう。

 ネット通販ユーザー数は7.10億人。こちらもスマホ経由が7.07億人でほぼ全員。なんと18年末比で1.16億人も増えたようです。職業別では学生が最も多く、また個人経営者と自由業(フリーター)、無職を合わせると全体の58.1%を占めています。

 なかでも第二子の出産が許可されたこともあり、多くの「宝媽(ママ層)」がフリーター化。SNSに費やす時間が長く、ネットコミュニティ(社群)への帰属意識も強い。スキマ時間にちょっとした小遣い稼ぎをしたいと考える人も少なくないようで、この宝媽たちが、ソーシャルECにも大きな影響力を有しているともいわれています。

 次の要因としては、顧客獲得コストの上昇です。アリババが2018年に306元、京東は14年の82元から18年には1,503元にまで上昇しています。資金力の乏しい中小企業やブランドにとっては、ソーシャルECに頼らざるをえないのが現実でしょう。

 そして最後にSNSアプリの普及です。19年末時点で月間アクティブユーザー12億人を誇る微信(ウィーチャット)は言わずもがな。ミニブログの微博(ウェイボ)も5.16億人で、3万人近い芸能人や40万人以上のKOL(キーオピニオンリーダー)がアカウントを運営。このほか、動画投稿アプリの抖音(ドウイン・TikTok)がデイリーアクティブユーザー4億人超。快手(クアイショウ)も同じく1.6億人と、存在感を高めつつあります。

 このほかにも「下沈市場」と称される地方都市や農村地区でのECの盛り上がりも、SNSでの情報拡散が大きく影響しています。「M型消費」という高級品とコスパ品の二極化が進む中国消費において、格安品の共同購入で一気にブレークした拼多多(ピンドウドウ)や、S2b2cモデルの雲集(Yunji)などが今後も躍進しそうな理由も、上記の考察から理解できます。
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