会報誌「中国消費洞察」5月号では、中国で近年流行りのコラボマーケティングを特集しました。中国で「×」(ツァー)で表記され、「聯名」と呼ばれるコラボ(コラボレーション)。企業(ブランド)同士のコラボもあれば、「IP」(アイピー)と呼ばれるキャラクターなどとのコラボも目白押しとなっています。
IPについて、もう少し詳しく解説しておきましょう。日本でIPといえば、Internet Protocol(インターネット・プロトコル)を指すのではないでしょうか。特にパソコン内でネット接続などを設定する際に、IPアドレスといった言葉をよく耳にすると思います。
しかし中国でいうIPは、Intellectual Property(インテレクチュアル・プロパティ)、つまり知的財産のことを意味します。代表的なものとしては、ハローキティやドラえもんなどのキャラクターが真っ先に思い浮かぶと思いますが、中国ではもっと広い意味で適用されています。
例えば、ゲームやアニメなどの二次元的なものから、アーティスト(芸術家)や芸術・文芸作品、さらには美術館や博物館、カルチャー施設、スポーツイベント、人気のテレビ番組など。ネット上の流行語もIPと化しますし、場合によっては、自らをIPと称してプロデュースすることも可能です。
つまり著作権を主張できるようなものはすべてIPとなるのですが、それらをいかに自社のブランドイメージや商品(サービス)に結びつけるかが、中国のコラボマーケティングの肝となっています。
では中国で、どうしてこうしたコラボが流行っているのか?その一番の目的は話題作りといえるでしょう。顧客との接点がSNSやショート動画などスマートフォン(スマホ)に集約されてしまっているなか、いかに話題となってバズらせるかが成功の鍵を握っています。
また以前のテレビのように大衆メディアがなくなった今、中国で「圏層」と呼ばれる興味や趣味で繋がったグループ層にいかにピンポイントでアプローチするかが大事になっています。自社のフォロワー層には欠けている圏層を備えたブランドやIPとコラボすることで、フォロワー層を拡大・多様化するという狙いもあるでしょう。
最近、上海で見かけて、ハッとしたコラボ。一つはカフェチェーンのマナーコーヒーと米電気自動車のテスラ。そしてもう一つは、茶系ドリンクチェーンの喜茶(HEYTEA)と伊高級ブランドのフェンディの2つ。全く業種が異なるブランド同士が、いかにコラボしようと思ったのか。どんな狙いがあったのかについて強く興味を引かれました。
さらにはマナーコーヒーも喜茶も、ある意味スターバックス同様に、すでに市民のライフスタイルに溶け込み、あえて話題づくりをしなくても事業を継続できるのではと思います。そうしたメジャーブランドさえも、サプライズ的なコラボを通して絶えず話題づくりに励む。もしくは話題づくりに励むから、長らくメジャーブランドとして君臨できているのか…。
このような疑問を感じながら、コラボマーケティングの事例とともに、日本企業の今後の中国事業にとってのインサイトになればとの思いでレポートしました。
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