【第664回】　単なる便利さだけでなくお付き合いも重視…

「ご近所さん」のありがたさを再認識する中国人

2025年4月2日更新

「徒歩15分内のご近所」のコンビニで買い物する人が多い

　コロナ禍、特に上海のロックダウン（都市封鎖）で、その大切さに気付かされた「ご近所さん」（隣居）。その利便性や帰属感が、アフターコロナでも注目されています。

　知萌諮詢のアンケート調査では、回答者の46.2％がご近所を安心感や帰属感の拠り所と認識している一方で、身近な買い物やレジャーの場として重視する人もそれぞれ20.3％と20.2％に達しています。

　またご近所で時間を節約し、生活の満足感を高めたいと考える人も増えつつあるようで、「徒歩15分内のご近所」、つまりコンビニや生鮮市場、スポーツ施設に週最低3～5回行く人が45％を占めています。

　こうしたご近所ニーズが高まっているのは、消費やサービスにとどまりません。中国で「小区」と呼ばれる集合マンション団地内で開催されるイベントやトレーニング教室、趣味の集まりなどに参加する人も増えています。

　「15分間トレーニング圏」を提唱するフィットネスジムチェーンの楽刻運動（LEFIT）は、「社区」（地域コミュニティ）に隣接する小規模なフィットネスジムを展開。フィットネス需要だけでなく、社交ニーズも的確に捉えています。

　中国ですぐ買いたい、すぐ使いたいニーズの高まりに伴い、フードデリバリーのラストワンマイル配送網活用で急拡大した「即時零售」（インスタント・リテール）。ご近所の再活性化においても重要な牽引役を果たしています。

　日常生活で急に必要となった物品需要のほか、社交シーンにおけるギフト需要、外食産業のフードデリバリーなど、様々な消費ニーズに応えるインスタント・リテールは、ご近所の店舗にとっても大きなビジネスチャンスとなっています。

　こうした消費者トレンドの変化を巧みに汲み取っているのが、京東（JDドットコム）。2024年5月に、インスタント・リテール部門「京東秒送」の運営を開始しました。スマホアプリからの注文で、ご近所の店舗から「最速9分」で届ける即時配送サービスを実現しています。

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