会報誌2023年1&2月合併号(vol. 101)の巻頭特集では、アフターゼロコロナ下での2023年中国消費トレンド動向を取り上げました。
中国政府が2022年12月に新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策を転換し、感染が一気に中国全土に拡散。おそらく人口の8〜9割が感染し、実質上の都市封鎖(ロックダウン)となりました。
その後、2023年に入り感染拡大が収まり、中国国内の消費と経済に回復傾向が見られます。
ゼロコロナ政策転換後、初の大型連休となった2023年の春節(旧正月)には、小売や外食、旅行などリアルでの消費が大きな盛り上がりを見せました。
中国政府の文化・旅行部(文化和旅游部)によると、春節期間中の中国国内旅行者数は3億人超で、関連消費は3,758億元。海外旅行者数も287万人に達し、中国最大手のオンライン旅行サイト、シートリップ(携程)の海外旅行予約件数は、前年同期比で640%増を記録しました。
フードデリバリー大手の美団(メイトゥアン)が公表した2023年春節期間中のデータでは、連休開始からの6日間で、1日当たりの平均消費額は2019年同期比で66%も増加。なかでも北京、上海、成都、重慶、広州で消費額が特に多かったようです。
映画の興行収入も見てみましょう。国家電影局によると、1月27日午後5時時点で春節期間中のチケット販売総額は65億元に達しています。
感染拡大が収まり、いよいよ本格的にウィズコロナ時代へと突入した2023年。中国の消費者はこれまで行き場を失っていた3年分の情熱を解き放ち、リベンジ消費へと動くのか…。それともコロナ禍で巣ごもり生活に慣れ、なおかつ将来の不透明感が増すなか、財布の紐を緩めることなく節約志向を高めるのか…。
どちらの方向にベクトルが振れるのかまだ先が読めない2023年の中国消費動向ですが、今後どのようなトレンドが顕著となりそうか?また企業はそうしたトレンドに際して、どのように戦略を練りながら、ブランディングやマーケティングを行っていくべきなのか?
こうした視点から、2023年中国消費トレンドの傾向と対策をまとめました。
次に業界研究として、中国ECプラットフォーム“四天王”、淘宝(タオバオ)と天猫(Tモール)を擁するアリババ、京東(JDドットコム)、拼多多(ピンドゥオドゥオ)、抖音(ドウイン・TikTok)を徹底解剖しました。
CNNIC(中国インターネット情報センター)によると、2022年6月時点における中国ECユーザー数は8億4,000万人を突破。ネットユーザー全体の8割に達しています。
また中国政府商務部によると、2022年の中国EC小売高は13兆7,900億元で、前年比4%の伸びを記録。そのうち、モノのEC小売高は前年比6.2%増の11兆9,600億元で、社会消費品小売総額(小売全体)の27.2%を占めました。
ECプラットフォーム各社のシェア(2021年)では、アリババ(淘宝・天猫)が50%超でトップ、京東が20%、拼多多が15%で2位、3位と続いています。
近年はライブコマースが急成長しており、アリババの優位性も以前ほど顕著ではなくなりつつあります。中国ライブコマース市場は、淘宝と抖音、快手(クアイショウ)の3社による寡占状態となっており、3社合わせてシェアは99.7%に達しています。ちなみにトップは抖音で38.9%、淘宝が31.1%で続いています。
中国調査会社の共研網(gonyn.com)は、ライブコマースユーザー数が2022年に4億7,300万人に達する見込みで、また市場規模も3兆4,879億元に達すると予想しています。
ECチャネルも多様化が進んでいます。ショート動画やSNS、共同購入などのプラットフォームから商品を購入するユーザーも増えつつあります。
2022年1月~6月期の調査では、従来型のECプラットフォームで購入するユーザーの割合は27.3%にとどまり、ショート動画(ライブコマース)や生鮮EC(ネットスーパー)、地域コミュニティ「社区」型の共同購入、微信(ウィーチャット)で買い物をする人の割合は、それぞれ49.7%、37.2%、32.4%、19.6%に達しました。
いまや中国で最も重要な販売チャネルとして成長を遂げたEC。スマホ決済やラストワンマイルのデリバリー網、さらにはショート動画やSNSの普及により、従来の“ネット通販”とは全く異なる世界が誕生しています。
中国で事業を展開する企業にとって、多様化したEC環境をいかに活用し、コンバージョン(販売転換)させるかが至上命題となっています。そのためにも、中国ECの現状やトレンドをしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
今号ではこうした視点に立ち、中国ECの発展状況やユーザーの傾向、主要プラットフォームの特徴や強み、そして今後の動向について分析しました。
あの頃の中国ビジネス&生活(その6)では、中国でネットスーパーが普及した4つの背景をピックアップしました。
かつては中国小売流通業で一斉を風靡した仏カルフール(家楽福)。地方都市では経済成長のシンボルとして崇められる存在でしたが、2016年にネットスーパーのアリババ系「盒馬鮮生」(フーマーフレッシュ)が登場してからは、風前の灯火となってしまいました。
2019年には、家電量販大手の蘇寧(スニン)に買収され、台湾系の大潤発(RTマート)もアリババに、独メトロは物美(ウーマート)、英テスコも華潤万家など地場企業に続々と買収されました。
中国人の台所を支えてきた既存の総合スーパーに巨大なインパクトを与えたフーマー。当時なぜ中国でネットスーパーが普及したのか?その背景について4つの視点から解説しています。
そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。
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会報誌『中国消費洞察』
2023年1&2月合併号(vol. 101) もくじ
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【巻頭特集】2023年中国消費動向分析レポート
アフターコロナでリベンジ消費到来するか!?
2023年の中国消費トレンド動向を洞察
【業界研究】中国4大ECプラットフォーム分析レポート
淘宝・天猫、京東、拼多多、抖音
中国ECプラットフォーム“四天王”を大解剖!
【マーケティングコラム】あの頃の中国ビジネス&生活⑥
盒馬(フーマー)の登場がゲームチェンジに!
中国でネットスーパーが普及した4つの背景とは?