会報誌2024年6月号(vol. 115)の巻頭特集では、中国の「新一線級」都市を分析しました。
一線、新一線、二線、三線、四線、五線という中国の都市等級は、我々が各都市の発展レベルを知るための重要な指標です。
一線級都市は一貫して上海、北京、深圳、広州の4都市。中国では「北上広深」とも呼ばれるなど、別格の扱いです。三線級以下は「下沈」と呼ばれ、地方都市のほかに県や郷・鎮、そして農村部も含まれます。
大都市の経済成長が鈍化し、競争がますます激化するなか、下沈市場の開拓が、中国国内のほぼすべての経営者にとって、共通の課題となっています。
地方の小都市は、経済水準では大都市に劣るものの、大きな成長空間と巨大な消費潜在性を秘めています。その一方で、広大かつ複雑な下沈市場は、外資系企業にとっては、攻略が難しい市場でもあります。
大きな発展を遂げた一線級都市と、広大な下沈市場を除いた部分が、新一線と二線級の中都市グループ。ちなみに新一線級は15都市、二線級は30都市がラインナップされています。人口は約3億人で、日本の3倍に相当します。
そこで、今号では、中国の各都市がどのように「線級」分けされているのか?その仕組みを開設するとともに、新一線級の15都市にスポットライトを当て、色んな角度から、中国の都市の発展状況や市場機会について分析しています。
次に、見せびらかし消費から理性消費へと転換するなか、新たな消費概念として注目される「平替」(ピンティ)トレンドを洞察しました。
アフターコロナの中国では、ブランドを盲目的に追求せず、品質や個性、サステナビリティなどを考慮した理性的な消費行動を取る「反向(リバース)消費」トレンドを背景に、「平替」がホットワードとなっています。
平替とは、安価な代替品を意味しますが、ここではコストパフォーマンス(コスパ)の良い代替品を探す行為全般を指します。
ソーシャルメディアやEコマースアプリ上で、「平替」というワードを検索すると、スキンケアや電子製品、衣料品、さらには観光地まで、様々なジャンルに平替商品が存在することがわかります。
微信(ウィーチャット)によると、2023年上半期に、この「平替」というワードの検索ホット指数が22万になり注目が集まりはじめ、同年下半期には660万にまで上昇したようです。
またソーシャルプラットフォームの小紅書(RED)でも、平替関連の文章コンテンツが200万件投稿され、トピックの閲覧回数は11億回に達しています。
平替ブームの背景にあるのは、中国人の消費観の変化でしょう。これまで数十年にわたって続いてきた、消費で他人に自分の豊かさを“見せびらかす”時代は終わりを告げ、人々は「必要なモノを購入し、コスパの悪いものは買わない」、「生活の質を下げずに、消費を抑える」ことを目指すようになりつつあります。
かつて日本経済の停滞に伴い、無印良品やユニクロなどコスパ重視型ブランドが人気を得たのと同様に、中国も理性で消費する新時代が到来したともいえるでしょう。
そこで今号では、平替が流行る背景や特徴、また平替トレンドに乗じて成功するブランドを業界別に分析しました。
あの頃の中国ビジネス&生活(その20)は、スマホ決済によるクチコミアプリ「口碑」(コウベイ)について。
中国で、レストランや美容院などを検索する際に、最もよく使われるクチコミアプリは「大衆点評」でしょう。
2003年に運営を開始。微信(ウィーチャット)を擁するテンセントが出資し、2015年には当時共同購入大手で、今はフードデリバリーとして有名な「美団」(メイトゥアン)と合併し、業界トップとしての地位を盤石なものにしています。
近年、その牙城を切り崩しにかかっているのが、中国版TikTokの抖音(ドウイン)。各地の飲食店やエンタメ施設など生活関連情報を、得意のショート動画やライブ配信で発信し、デリバリー事業にも参入しています。
実は2016〜17年ごろ、同じように大衆点評の牙城に挑んだアプリが存在します。それは「クチコミ」という意味の名を冠した「口碑」(コウベイ)なのですが…。
そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。
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会報誌『中国消費洞察』
2024年6月号(vol. 115) もくじ
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【巻頭特集】中国新一線級都市分析レポート
「線級」都市はどのように決まる?
2024年の中国「新一線級」都市を大解剖
【トレンドウォッチ】中国「平替」消費トレンド分析レポート
見せびらかし消費から理性消費への転換
新たな消費概念「平替」(ピンティ)とは?
【マーケティングコラム】あの頃の中国ビジネス&生活⑳
「大衆点評」の牙城切り崩しに挑んだが…
スマホ決済によるクチコミアプリ「口碑」(コウベイ)